カピバラって、結局何科の動物なの?ペットとして注目を集める一方で、野生ではどんなふうに暮らしているのか、動物園ではどんな姿を見せてくれるのか……。気になる“しっぽ”の有無や、独特な鳴き声、性格のヒミツまで、知れば知るほど面白いポイントが盛りだくさん。
この記事では、カピバラの分類(何科か)を出発点に、特徴や生態、かわいさの理由まで、とことん掘り下げていきます。あなたも、今日からカピバラ通になってみませんか?

この記事はこんな方におすすめ
- 動物が好きで、日常的にSNSや動物動画を見る方
- カピバラをペットにしてみたいと考えている方
- 動物園でカピバラを見て興味を持った方
- 雑学や豆知識が好きな方
カピバラは何科?かわいい見た目からは想像できない“分類”の秘密

カピバラは何科に属するの?学術的にどう分類される?
カピバラはテンジクネズミ科(Caviidae)に属する、世界最大のげっ歯類です。学名はHydrochoerus hydrochaerisで、属名は「水を好む豚」を意味します。げっ歯類(Rodentia)に分類される理由は、切歯が一生伸び続けることや草食性である点などが挙げられます。テンジクネズミ科にはモルモット(Cavia porcellus)などが含まれ、歯の構造や消化器官に共通点があります。
なお、げっ歯類の中でも最大級の体格を持つことで知られ、体長は約100〜130cm、体重は35〜66kgにも達します。分類学的にも非常にユニークな存在であり、カピバラは単独でHydrochoerus属に分類されています。
カピバラの特徴とは?体のつくりや正面から見た姿のポイント
カピバラの体は円筒形で、短く太い四肢を持ち、全体的にずんぐりとした印象を与えます。このような体型は、陸上でも水中でも安定して行動できるよう進化してきた結果です。水かきのついた前足と後足は、まるでアヒルのように広がり、泳ぎが非常に得意です。
皮膚は分厚く丈夫で、毛は粗く短いため、撥水性に優れており、水に濡れてもすぐに乾きます。正面から見ると、大きく開いた鼻孔、つぶらな黒い目、丸みを帯びた耳がバランスよく配置されており、穏やかで親しみやすい印象を持ちます。
また、草食動物らしく顎の筋肉が発達しており、咀嚼力にも優れています。視覚・聴覚・嗅覚のいずれも高く発達しており、周囲の環境の変化に非常に敏感です。こうした特徴は、カピバラが水辺に適応して暮らし、群れの仲間と協調しながら生活するために必要不可欠な能力であるといえるでしょう。
カピバラの顔が“癒し系”に見えるのはなぜ?
カピバラの顔が癒し系に見える理由には、心理学的な「ベビースキーマ(幼児図式)」の概念が関係しています。これは、丸い顔、大きな目、短い鼻などの特徴が人間に“かわいい”という感情を呼び起こすという理論です。カピバラの顔はこれにぴったり当てはまり、無防備で穏やかな印象を与えます。
また、表情が乏しく見えることが逆に安心感を与えるという研究結果もあり、視覚的な安心感と情緒的な安定を感じさせる存在です。加えて、静かな動きや目を細めたときの表情は、見る人に癒しを提供する効果があると考えられています。
カピバラの鳴き声の種類と意味、コミュニケーションの謎

カピバラは決して無口な動物ではありません。実際には「キュルキュル」「グルル」「ピーピー」など、複数の鳴き声を使い分けています。研究では、これらの声には警戒・甘え・群れの調和など、さまざまな意味があることが示されています。
例えば、母子間では高音の鳴き声で連絡を取り合い、群れの中では低音の声で仲間との距離感を保っています。鳴き声は音波分析によって分類されており、音の高さや長さに意味があることがわかっています。また、水中で発する振動音も報告されており、聴覚だけでなく振動を使ったコミュニケーションも行っていると考えられています。
カピバラのしっぽはどこにある?実は意外な事実とは
カピバラのしっぽは、見た目にはほとんど存在しないように見えますが、実際にはごく短い痕跡的な尾(rudimentary tail)があります。このしっぽは、進化の過程で水中生活に適応した結果、退化したと考えられています。泳ぐ際に体の後方に突起物があると水の抵抗になってしまうため、よりスムーズに移動するには短い尾の方が都合が良かったのです。
また、水辺での生活ではしっぽを使ったバランス調整の必要性が低いため、自然とその機能が失われたと推測されます。こうした適応は、同じく水辺に暮らすビーバーやヌートリアとは対照的で、彼らは長く平たい尾を使って舵のように泳ぎます。
さらに、しっぽの退化は、捕食者にとってつかみづらい体型を形成するうえでも有利だったと考えられます。カピバラのしっぽが目立たないという特徴は、単なる見た目の個性ではなく、長年にわたる環境適応の結果であり、自然環境での生存戦略の一部といえるでしょう。
カピバラはなぜかわいいと感じる?心理学的にも魅力的な理由
カピバラが「かわいい」と感じられるのは、心理学的にも説明が可能です。前述のベビースキーマに加え、動きのスローペースさ、攻撃性の低さ、表情の穏やかさなどが挙げられます。これらの特徴は、人間に安心感や共感を生む要因とされています。
また、動物園などで人に懐く様子や、仲間と寄り添って過ごす姿が“社会的な動物”としての魅力を強調します。さらに、SNSなどで共有される“かわいい仕草”の画像や動画が、カピバラの魅力をより多くの人に伝える要素になっているのです。視覚・感情・文化の三位一体で、「癒し系動物」としてのポジションを確立しています。
カピバラは何科に分類されるの?ペットや野生での違いから見えてくる生態の深さ

カピバラはペットにできるの?実際に飼うための条件とは
カピバラをペットとして飼育することは、日本では条件付きで可能ですが、ハードルは高めです。まず第一に、動物愛護管理法の「特定動物」には該当しないものの、自治体によっては飼育に届け出が必要です。次に、広いスペースと水浴び用のプールが必要です。カピバラは非常に社交的な動物なので、単独飼育は推奨されません。
また、冬季は寒さ対策も不可欠で、専用の屋内飼育環境が求められます。エサは牧草や野菜、カピバラ専用のペレットなどを与え、栄養バランスに配慮する必要があります。ペットにするには費用・時間・知識の3拍子が揃っていなければなりません。
カピバラの寿命はどれくらい?ペットと野生でどう違う?
カピバラの寿命は、野生では6〜8年、飼育下では10〜12年が一般的とされています。飼育環境では、定期的な健康管理や病気の予防、栄養バランスの取れた食事、そして天敵の存在がないという点が、寿命を延ばす大きな要因です。特に動物園や専門施設では、医療的なケアや快適な住環境が整えられており、ストレスを抑える取り組みも積極的に行われています。
一方、野生のカピバラは自然環境に身を置くため、ジャガーやアナコンダなどの捕食者に常に命を脅かされています。乾季による水不足や食料の減少も生存に影響を与えるため、寿命は短くなりがちです。飼育下で長生きさせるには、広い運動スペースの確保や適切な温湿度管理も重要な要素です。
また、群れで生活する動物であるため、社会的な刺激や他個体との関わりが保たれていることも、心身の健康を支えるポイントになります。ストレスの少ない生活環境が、カピバラの寿命に大きく関わっているのです。
カピバラの性格って?人懐っこいって本当?
カピバラは非常に穏やかで社交的な性格をしており、他の動物や人間に対しても比較的友好的に接することが多いです。これは彼らが群れで生活する習性を持つことに起因しており、仲間とのスキンシップや鳴き声によるコミュニケーションを通じて、絆を深めながら生活しています。
このような性格は、人間にとっても接しやすく、動物園やふれあい施設などで人気がある理由の一つです。実際、訪問者が撫でても嫌がる様子を見せず、のんびりと横たわる姿を見せる個体も多く存在します。
ただし、すべてのカピバラが人懐っこいわけではありません。個体差があり、中には神経質で警戒心の強い性格を持つものもいます。環境や育てられ方によって性格が大きく左右されるため、ストレスの少ない静かな環境を整えてあげることが重要です。
また、音や強い光といった刺激にも敏感なため、過度な接触や騒音は避ける必要があります。こうしたことから、カピバラは人懐っこさと繊細さという、相反するように見える2つの性質をあわせ持つ、非常に奥深い性格をした動物であるといえるでしょう。
カピバラの生息地とは?どんな場所で暮らしているの?

カピバラは南アメリカの熱帯・亜熱帯地域を中心に分布しており、ブラジル、ベネズエラ、アルゼンチン、コロンビアなどの国々に生息しています。特に水辺を好み、川沿いや沼地、湿地帯などに定住します。彼らは水中での生活に適応しており、必要に応じて5分以上も潜水が可能です。
群れで行動することで外敵から身を守り、また水辺では体温調整を行うこともできます。地形や気候に合わせて柔軟に生活しており、乾季には移動を伴う行動も見られます。このような柔軟性が、カピバラの広い分布域と生存能力を支えているのです。
カピバラは野生だとどんな生活をしているの?
野生のカピバラは主に早朝や夕方に活動し、日中は水中や日陰で休息します。食性は草食で、草、木の皮、水生植物、果実などを食べます。歯が一生伸び続けるため、かたい植物をかじることで自然にすり減らしています。群れは5〜20頭程度の構成が一般的で、リーダー的なオスがいる場合もあります。
天敵にはジャガーやワニ、アナコンダなどがいますが、水中に逃げ込むことで身を守ります。社会性が高く、鳴き声や姿勢によるコミュニケーションも豊かです。野生でもストレスを感じないような行動パターンが見られ、人間社会とは異なるルールで穏やかに生きています。
カピバラはどこの動物園で会える?見どころと楽しみ方
日本全国の多くの動物園でカピバラに会うことができます。特に有名なのは長崎バイオパーク、那須どうぶつ王国、伊豆シャボテン動物公園などで、冬になると「カピバラの露天風呂」が風物詩として親しまれています。
湯気の立つお風呂に浸かるカピバラの姿は、SNSやテレビ番組で取り上げられることも多く、その愛らしい様子に癒される人が続出しています。このイベントは毎年のように開催され、動物園の名物として定着しつつあります。
さらに、エサやり体験やふれあいタイムを実施している園もあり、カピバラを間近で観察しながら、直接触れることができる貴重な機会を提供しています。展示方法も園ごとに工夫されており、水辺の自然環境を再現したものや、カピバラの生態を学べる解説展示が設けられている施設も存在します。
また、カピバラの誕生日イベントや特別展示など、季節ごとの楽しみも豊富で、何度訪れても新たな発見があります。家族連れやカピバラファンにはもちろん、動物に癒されたいすべての人にとって、訪れる価値のあるスポットです。