サザナミインコは、その落ち着いた声量や穏やかな性格から「初心者でも飼いやすい小型インコ」と言われることが多い存在です。
ところが実際には、魅力の裏にちょっと意外な欠点や注意点も隠れており、飼育する前にしっかり理解しておきたい部分があります。
この記事では、サザナミインコとはどんな鳥なのか、特徴や性格、生息地、習性、さらには値段や雛の育て方まで幅広く解説します。
専門的な情報をまとめながら、サザナミインコの欠点にも触れつつ、飼う前の疑問や不安にしっかり答えていきます。
- サザナミインコの欠点を知ってから迎えたい方
- サザナミインコの特徴や性格を知りたい方
- サザナミインコの飼い方を分かりやすく知りたい方
- 雛の育て方や注意点を知りたい方
サザナミインコの欠点はどこ?特徴や性格から解説

サザナミインコとは?
サザナミインコは、学名 Bolborhynchus lineola といい、南米アンデス山脈周辺の亜熱帯〜温帯の森林に生息する小型インコです。体長は約16 cm、体重は45〜55 gほどで、インコ類としては比較的ずんぐりとした体型をしています。
生息地はチリ・アルゼンチン北部・ペルー・ボリビアなどの湿度の高い森林地帯で、群れで生活する社会性を持っています。
行動はとても静かで、他の小型インコと比べても鳴き声が小さく、日中の活動も穏やかなことが特徴です。
この静けさは、森林の中層で捕食者に気付かれにくくするための生態的な適応と考えられています。
日本の飼育下でもこの性質は強く残り、あまり騒がず周囲に気づかれにくいほど控えめな態度を見せます。
そのため、「初心者向け」と紹介されることが多いのですが、静かさゆえ体調変化の発見が遅れるリスクもあります。
また、急激な環境変化や温度差に弱いのも、出身地の気候が比較的安定していることが背景にあります。
体調不良のときも激しく鳴くのではなく、動かなくなる・羽を膨らませるなどの“静かすぎるサイン”でしか知らせないことも多いです。
この特性は飼い主にとっては難しさにもなり、観察力が重要な理由につながっています。
国内の飼育経験者からも「異変に気づきにくい」という声が多く、欠点の理解には基本的な生態把握が不可欠といえます。
一方で、穏やかな生活リズムに寄り添って過ごすことができれば、非常に落ち着いた飼育環境を保ちやすい種類でもあります。
サザナミインコの特徴とは?
サザナミインコの最大の特徴のひとつは、他のインコと比べて圧倒的に鳴き声が小さいことです。
個体差はありますが、鳴き声は一般的なセキセイインコの半分以下といわれ、集合住宅でも飼いやすいと紹介される理由になっています。
さらに、動きがゆっくりで、突然バタバタと飛び回るタイプではなく、穏やかにケージ内を移動する点も特徴的です。
これは野生下で中層を静かに移動する習性が残っているためで、刺激を避ける行動が現在も強くみられています。
体型はふっくらとしており、背中側の細かい波模様(ライン模様)が“サザナミ(さざ波)”の名前の由来です。
毛並みが柔らかく、羽毛密度も高いため、寒さには比較的強いものの、乾燥には弱い傾向があります。
このような特徴はメリットと欠点の両面を持ち、静かで落ち着いた性質は飼いやすさにつながりますが、異変の察知が難しい点は注意が必要です。
また、慎重で控えめな気質から、自己主張が少なく、環境に馴染むまで時間がかかる場合があります。
とくに、多くのインコに見られる“呼び鳴き”が弱いため、飼い主からは「感情表現が少なく感じる」という声もあります。
動きが少ないことで元気がないと誤解されることもあるため、個体ごとの普段の様子をよく観察しておくことが欠点対策の一歩になります。さらに、静かに過ごす傾向があるため、放鳥時もアクティブに運動しないことが多く、長期的には運動不足になりやすい点も特徴的です。
サザナミインコの欠点とは?
サザナミインコの欠点として最も重要なのは、環境変化に弱いという点です。
生息地が安定した気候であるため、急激な温度変化・湿度不足・騒音といった刺激に対してストレスを感じやすく、体調を崩しやすくなります。
また、鳴き声が小さいことは魅力である一方、体調不良のサインが極めて分かりにくいという大きな課題を生みます。
「鳴かない=大丈夫」と誤解され、異変に気付いたときには症状が進行しているケースも、国内の飼育報告では数多く確認されています。
自己主張が少なく、感情表現も控えめであることから、飼い主が関係性を掴むまで時間がかかる点も欠点として挙げられます。特に、初心者は“懐いていない”と誤解しやすく、距離の詰め方を間違えやすい傾向があります。
さらに、運動量が少ないため、放鳥していてもほとんど飛ばず、運動不足から肥満につながるリスクが比較的高い種類でもあります。野生では栄養価の低い植物や種子を少量ずつ食べているため、人間が与えるカロリーの高い餌とは相性が悪い場合があります。
このため、過剰にシード(小鳥用の種餌)を与えると肥満や肝臓への負担が大きくなるため、食事管理が欠点対策として非常に重要になります。また、臆病さが強いため、多頭飼育では他の種類に圧倒されてしまい、ストレスを溜めやすくなることも欠点として知られています。
サザナミインコの性格とは?

サザナミインコの性格は、小型インコの中でも特に穏やかで、攻撃性がほとんど見られない種類として知られています。国内外の飼育者の報告でも、「落ち着きがある」「騒ぐことが少ない」という特徴は一貫しており、これは野生で捕食者から目立たないよう静かに行動する生活に由来すると考えられています。
一方、感情表現が控えめで、嬉しい・不安といった変化を大声で伝えないため、初心者が気持ちを読み取りづらいという欠点につながります。例えば、他のインコであれば不満があると鳴いたり騒いだりしますが、サザナミインコは小さな仕草や姿勢の変化でしか表さないことが多いです。
この控えめな性格から、「懐いていないのでは?」という誤解が生まれやすいのですが、実際には信頼関係が深まると静かに寄り添うようにそばに来ることがあります。人見知りをするわけではありませんが、新しい環境や物事には慎重に対応するため、慣れるまでには時間が必要です。
この慎重さは、飼育環境の変化に弱いという欠点としても表れますが、逆に言えば、安定した環境下ではとても落ち着いた付き合いやすい鳥になります。
性格面での特徴は、過度に刺激を求めない家庭や静かな生活環境とは相性がよく、長期的に平和に暮らしやすい種類だと言えます。
また、さまざまな飼育報告では「他のインコよりも人に対する依存は比較的低め」とされ、独立心がある分、過剰な呼び鳴き(飼い主を呼ぶ大声)もしない点が特徴です。こうした性格は、騒々しいインコを好まない人にとっては大きなメリットですが、「明るく賑やかなコミュニケーションを期待していた人」には静かすぎて物足りない場合もあります。
サザナミインコの生息地とは?
サザナミインコの生息地は南米のチリ、アルゼンチン北部、ペルー、ボリビアなどの湿度が高い森林地帯です。
標高1,000〜3,000mほどの山岳地帯にも分布し、比較的冷涼で一年を通して気温の変化が緩やかな環境で過ごしていることが特徴です。
このため、飼育下でも気温差に弱く、特に冬場の冷え込みや夏場の温度急上昇は大きなストレスになります。
森林では中層を移動して生活するため、地上に降りて長時間行動することはほとんどなく、捕食者に見つかりにくい位置を保つ生態が発達しています。
そのため、飼育下では高所に安心感を覚えやすく、ケージ内でも高い位置に止まり木を作ると落ち着きやすいとされています。
野生では湿度が安定している環境を利用して生活しているため、乾燥した空気は呼吸器に負担がかかりやすく、加湿管理が欠点対策として非常に重要になります。生息地の気候が安定していることから、急に天候や温度が変化する環境への適応力が弱く、飼育下での温湿度管理不足は体調の悪化に直結します。
実際に日本国内では「季節の変わり目に体調を崩しやすい」という飼育報告が多く、生息地の気候特性がそのまま欠点として現れています。
また、野生では小さな群れを作り、互いに控えめなコミュニケーションを取りながら生活しています。
そのため、飼育下でも「急に大声で鳴く」「激しく動き回る」といった性質は少なく、静かに周囲を観察しながら行動する習性が残っています。
サザナミインコの飼い方とは?
サザナミインコの飼い方で最も重要なのは、温度と湿度を安定させることです。
適温は22〜26℃前後、湿度は50〜70%ほどが理想とされ、これを維持することで呼吸器負担やストレスの軽減につながります。
エアコンや加湿器を活用して環境を整えることは必須であり、特に冬の乾燥や夏の急激な室温上昇には注意する必要があります。また、サザナミインコは静かで慎重な性質を持つため、大きな音がする部屋や人の往来が激しい空間はストレスの原因になります。
ケージは横方向に移動できるタイプが適しており、野生の横移動習性に合わせたスペースを確保することでストレスを減らせます。食事はシード主体ではなく、ペレットを主食にすることで栄養バランスを崩しにくくなり、肥満や肝臓への負担を抑えることができます。
特にサザナミインコは運動量が少ないため、高カロリーの餌を与え続けると肥満しやすく、定期的な体重管理が欠点対策として重要になります。体調不良を隠す習性があるため、普段より食欲が落ちる、羽が膨らんでいる、目の輝きが弱いなどの小さな変化も見逃さない観察力が求められます。
放鳥時は派手に飛ばない個体が多いため、ケージ外でも安心して過ごせるよう、止まり木や足場を複数作ってあげると良いでしょう。
サザナミインコの欠点とどう向き合う?飼い方や費用のポイント

サザナミインコの値段とは?
サザナミインコの値段は、2025年現在の国内市場では 2〜4万円前後 が一般的で、色変わりや個体の出自によって大きく変動します。特にブルー系や希少カラー(ターコイズ、コバルトなど)は流通量が少ないため、4〜6万円以上になる場合もあります。
値段の幅が広いことは「選びにくい」という欠点につながることがあり、初心者は適正価格の判断が難しいことが指摘されています。また、迎える費用だけでなく、飼育用品や保温器具、定期的な検診費用も必要で、初期費用は合計で 5〜10万円ほど になることが多いです。
実際には、ケージや加湿器、温度管理機器が必要なため、他の小型インコより初期投資が高く感じられることがあります。こうした点から、「本体価格よりも周辺設備の費用がかかる」という声も多く、これを知らずに迎えると後悔するケースもあります。
さらに、信頼できるブリーダーやショップで購入するかどうかで、健康状態やアフターサポートに差が出る点も重要です。健康な個体を選ぶためには、価格だけでなく、育てられた環境や親鳥の状態を確認できる場所を選ぶ必要があります。
サザナミインコは長生きする鳥(寿命10年以上)であるため、値段は単なる購入費用ではなく、長期的な飼育計画の一部として考えるべきものです。また、希少カラーの高額個体ほど、遺伝的背景が狭い場合があり、繁殖による遺伝負担を避けるためにも信頼できるルートの選択が欠かせません。
サザナミインコは喋るのか?
サザナミインコは喋ることができますが、他のインコと比較すると発語能力は高い方ではありません。
セキセイインコやオウム類のような明瞭な発音は難しく、喋れても短い単語や音まねのレベルに留まることが多いです。
これは、彼らが本来“静かに行動する生態”を持っているためで、コミュニケーションを大声で行う必要がない環境に適応してきたことが理由とされています。喋り声も小さく、飼い主が耳を澄まさないと聞こえないほど控えめである場合もあります。
そのため、「インコ=よく喋る」というイメージを持って迎えると、期待と現実のギャップを感じることが欠点につながることがあります。しかし、発語能力が低いことは決してデメリットばかりではなく、集合住宅などの静かな環境ではむしろ大きなメリットになります。
静かに生活できるため、近隣トラブルの心配が少なく、飼い主にとってもストレスの少ない飼育が可能です。
また、喋る能力よりも、人に寄り添い落ち着いたコミュニケーションを取る個体が多いため、“喋らないインコが好き”という人には非常に向いています。
喋り方には個体差があり、人の声をよく聞く環境に置かれた場合、短い単語を模倣する個体もいます。
ただし、無理に喋らせようとするとストレスがかかりやすいため、あくまで自然なペースで習得していくことが望ましいです。
サザナミインコの雛とは?
サザナミインコの雛は非常に繊細で、体温調整能力が未熟なため、温度管理が最重要ポイントになります。
適切な雛の飼育温度は 28〜32℃ が推奨され、温度が安定しないと食欲低下や体調不良につながる危険があります。
湿度も重要で、乾燥は呼吸器への負担となるため、加湿器で湿度50〜70%を維持することが望ましいとされています。
挿し餌(ヒナに与える人工飼料)を行う場合は、餌の温度・濃度・回数の管理も必須で、経験不足のまま行うと誤嚥(ごえん)や消化不良を起こす可能性があります。
このように、雛の飼育は高度な管理が必要となるため、「初心者には難易度が高い」という欠点がしばしば指摘されます。実際に国内でも、知識や経験不足が理由で雛をうまく育てられなかったケースが報告されています。そのため、初心者が雛から育てるのは推奨されず、ある程度育って安定した“若鳥”を迎える方が安全です。
一方で、雛から育てると人への信頼感が形成されやすく、長期的な関係性が深まりやすいという大きなメリットもあります。ただし、手間と時間がかかるため、仕事や生活リズムとの調整が必要で、迎える前の準備が欠点対策の重要ステップになります。
サザナミインコの種類とは?

サザナミインコには、ノーマルグリーンをはじめとしてブルー、コバルト、ターコイズ、クリームなど、複数の色変わり(カラーバリエーション)が存在します。色変わりは遺伝的な突然変異や選択交配によって生まれたもので、種類ごとの差は主に羽色の違いにとどまり、性格や寿命に大きな差はありません。
ただし、人気の高いカラーは流通量が限られるため、価格が高くなる傾向があり、希少カラーほど市場価格が不安定になりやすいという欠点があります。ブルー系の個体は国内でも特に人気があり、流通量が確保できない時期は値上がりすることがあります。
色変わりが増えたのは近年の話で、1990年代以降に世界的に繁殖が進み、日本でも2000年代以降に多様なカラーが広まりました。しかし、希少カラーを生み出すために狭い血統で繁殖された個体が混在する可能性があるため、健康リスクを避けるには信頼できるブリーダーを選ぶことが重要です。
種類によって性格が変わるわけではありませんが、系統によっては環境への順応性にわずかな差が見られるという報告もあります。とはいえ、科学的に明確な関連性が証明されているわけではなく、観察される多くの差異は個体差の範囲に収まります。
種類の違いは“見た目の好み”が最も大きな要素ですが、人気カラーに偏ることで過剰な交配が行われないよう注意も必要です。
サザナミインコの習性とは?
サザナミインコは、野生では森林の中層で静かに移動しながら生活する習性があり、警戒心が強く、周囲の音や動きに敏感に反応します。
この習性がそのまま飼育下にも表れ、急な音・照明の変化・環境の移動などがストレスにつながりやすく、“環境変化に弱い”という欠点の背景になっています。横方向に移動する行動が多いことも特徴で、縦に長いケージよりも横幅が広いケージを好む傾向があります。
また、サザナミインコは派手なアピール行動や大声でのコミュニケーションをほとんど行わず、静かに周囲を観察しながら距離感を調整します。この控えめな習性は、飼い主が感情を読み取りにくい原因にもなり、初心者にとって「何を考えているかわからない」という印象を与えやすいです。
ただし、穏やかな家庭環境では安心しやすく、時間をかけて接することで徐々に甘える仕草や寄り添う行動が増えることが多いです。ストレスサインも小さく、羽を微妙に膨らませたり、動きが減るといった分かりにくい変化が特徴で、見落としが欠点につながります。
さらに、野生では小さな群れで生活するため、単独飼育でも寂しさの表現が弱く、飼い主に気づかれないままストレスが蓄積することがあります。一方で、穏やかな習性は集合住宅での生活にとても向いており、大きな鳴き声によるトラブルがほぼ起こらないという大きなメリットも持っています。
サザナミインコの歴史とは?
サザナミインコの歴史は、他のインコ類と比べると家禽化の期間が短く、野生の特徴を強く残している点が大きな特徴です。原産地は南米のアンデス山脈周辺で、古くから森林の中層で生活する生態を維持してきましたが、人間との共生の歴史は長くありません。
ペットとして一般的に流通し始めたのは20世紀後半で、日本で多く見られるようになったのは2000年以降と比較的新しい種類です。家禽化の歴史が浅いことは、環境変化に弱い・ストレスを感じやすいといった欠点の背景として説明されることがあります。
たとえば、セキセイインコのように長年人間と暮らす環境に適応してきた種類とは異なり、刺激に対する耐性があまり発達していません。そのため、飼育下では急な気温変化や騒音が大きな負担となり、体調不良に繋がることがあります。
一方、家禽化が進みすぎていないため、“野生の落ち着き”を感じさせる独特の魅力も持ち合わせています。
静かで控えめな性質は、この歴史背景に基づくものであり、サザナミインコらしい性格の根幹ともいえます。
現代の飼育環境においても、慎重に適応すれば安定して暮らすことができ、多くの飼育者が「穏やかで付き合いやすい鳥」と評価しています。
サザナミインコの欠点を理解するための総括
- サザナミインコは南米原産の静かで穏やかな小型インコで、鳴き声の小ささや落ち着いた行動が大きな魅力となっている。
- 一方で“静かすぎる”という特性は体調変化のサインが分かりにくく、飼い主の観察力が特に求められる点が欠点として挙げられる。
- 生息地が湿度・気温の安定した環境であるため、飼育下でも温湿度管理が重要で、環境変化に敏感な点が弱点となりやすい。
- 性格は控えめで感情表現が小さいため、初心者は気持ちを読み取りにくく、懐きにくいと誤解しやすい特徴がある。
- 雛は体温調整が未熟でデリケートなため管理が難しく、初心者には若鳥を迎える方が安全とされる。
- 種類(色変わり)は見た目の違いが中心で、性格への影響はほぼないが、希少カラーは価格が高く健康リスクを慎重に見極める必要がある。
- 横方向に移動する習性を持ち、ケージ選びやレイアウトに適切な工夫が求められる。
- 歴史的に家禽化の期間が短く、野生の特徴が色濃く残っているため、刺激に弱く慎重な行動を示す傾向が強い。
- 喋る能力は高くないが、その静かさは集合住宅などでは大きなメリットとなり、生活環境に馴染みやすい。
- 欠点として挙げられる点は、適切な環境整備と理解によって多くが解消でき、飼い主との穏やかな関係性につながる。


