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ガビチョウとは何者?特徴・鳴き声から天敵まで、なぜ日本で増えたのか

森や藪の近くで、思いがけず大きく澄んだ声が聞こえて驚いたことはありませんか。


その正体がガビチョウかもしれません。

ガビチョウとはどんな鳥なのか、見た目の特徴や鳴き声、何を食べてどう暮らすのか。

ガビチョウの天敵は何で、どんな環境だと増えやすいのか。

日本で見かける背景まで丁寧に解説します。

この記事はこんな方におすすめ
  • ガビチョウとは何か知りたい方
  • ガビチョウの特徴や鳴き声が気になる方
  • ガビチョウの食べ物や性格を知りたい方
  • ガビチョウの天敵や増える理由が気になる方
目次

ガビチョウとは?天敵も含めて基礎から整理

ガビチョウとは?

ガビチョウとは、藪(やぶ)や低木林(背の低い木が多い林)を好み、地面近くで活動する外来の鳥です。分類はスズメ目・チメドリ科で、学名は Garrulax canorus です。英名では Chinese Hwamei(チャイニーズ・ホワメイ)と呼ばれます。

大きさは全長20〜25cmほどで、ヒヨドリより少し小さめの感覚です。
体色は黄褐色(おうかっしょく:黄みのある茶色)が基調で、目のまわりから後ろへ伸びる白い帯が目印になります。

本来の分布は中国南部〜東南アジア方面で、日本にもともと自然分布していた鳥ではありません。
日本では観賞用(愛玩用)として輸入・飼育された個体が、逃げ出しや放逐(ほうちく:外に放すこと)などで野外化したと考えられています。

野外での記録は1980年代に北九州で得られた例が早期として整理され、関東では1990年に山梨での記録が初期として扱われます。その後、地域ごとにじわじわ分布を広げ、藪や竹林、公園の茂みなどでも確認されるようになりました。

ガビチョウの特徴は?

ガビチョウの見た目で一番分かりやすいのは、顔の白い筋です。
目のまわりから後ろへ長く伸びて、眉のように見えます。

体の色は全体に黄褐色(おうかっしょく:黄みのある茶色)で、派手さはありません。
林の中や藪だと茶色が背景に溶けやすく、白い筋だけが先に目に入ることがあります。

顔つきは細長く見えやすく、くちばしは黄色っぽい印象になる個体が多いです。
顔まわりに明るい要素が集まるので、遠目でも輪郭が立ちます。

近い距離で見えると、喉から胸に細いすじ模様が出ます。尾はやや長めで、藪から出た一瞬に体より尾のほうが目立つことがあります。
横姿だと、白い筋と尾の長さが同時に見えるので判断しやすいです。

色は光で印象が変わります。
逆光だと全体が暗く沈み、順光だと黄みが強く出て見えることがあります。

ガビチョウの鳴き声は?

ガビチョウの声は、まず音量が大きいことで知られます。鳴き方は大きく分けて、さえずり(繁殖期のオスが出す歌のような声)と、地鳴き(ふだんの短い声)です。

さえずりは、笛のような澄んだ口笛系の音が中心で、同じ節を何度も繰り返します。
クロツグミに近い声質と言われる一方で、抑揚が少なめで、同じ調子を長く続けるように聞こえることがあります。

短いフレーズで終わらず、だらだら続くように聞こえるのも特徴です。
藪の中から聞こえることが多いので、声だけが前に出て、余計に大きく感じやすいです。

地鳴きは、ジッ、ジッと鋭く刻むような声で、詰まるとジリリリに近い転がり方になります。
さえずりより荒い音に寄るので、近距離で聞こえると印象が変わります。

もう一つ知っておくと助かるのが、声の“混ぜ方”です。
ガビチョウは、ときどき他の鳥のさえずりを混ぜることがあるので、別の鳥が鳴いているように聞こえる瞬間があります。

研究でも、ガビチョウの歌は細かいパーツ(音の単位)と並び方でできていて、地域で差が出ることが示されています。

ガビチョウの食べ物は?

ガビチョウは、基本的に地面で餌を探す鳥です。
木の上で実をついばむより、落ち葉の下や下草の間を歩き回る時間のほうが長くなります。

主な餌は昆虫類です。
甲虫、バッタ、ガ、クモ、ミミズなど、地表や土の中にいる小さな動物を拾って食べます。

このとき、くちばしで器用につつくというより、落ち葉をかき分けながら探すような動きになります。
林床(りんしょう:森の地面に近い層)で行動する理由は、この餌の取り方と一致しています。

植物質では、木や低木の果実も食べます。
特定の種類に強く依存するわけではなく、その季節に実っているものを利用します。

研究では、繁殖期には昆虫などの動物質が多くなり、非繁殖期には果実の割合が増える傾向が示されています。
ヒナの成長にたんぱく質が必要になるためです。

一方で、弱点もはっきりしています。
餌探しが地面依存なので、積雪が長く続く地域では採食が難しくなります。

雪で落ち葉や土が覆われると、昆虫にも果実にも手が届きません。
そのため、日本では雪の少ない地域を中心に分布が広がってきました。

ガビチョウの性格は?

ガビチョウは、ふだんは藪の中で静かに行動する鳥です。
姿を長く見せることは少なく、外に出てもすぐに藪へ戻ります。

人や動物に気づくと、飛び立つより先に走って隠れることが多いです。
低い位置を移動するのが得意で、見通しの悪い場所を選んで動きます。

鳴き声はよく通りますが、声を出している間も姿はほとんど見えません。
声が目立つ一方で、行動自体は控えめです。

繁殖期になると、同じ場所で繰り返し鳴くようになります。
これは相手に存在を知らせる目的が中心で、実際に争う場面は多くありません。

一方、山林では人の気配を感じるとすぐ奥へ移動します。
同じ鳥でも、環境によって見え方が変わります。

ガビチョウの天敵は?

ガビチョウは、地面に近い場所で行動する鳥です。
藪の中を移動し、外に出る時間はそれほど長くありません。

このため、捕食される場面が目につきにくく、
天敵が少ないように思えます。

実際には、他の中型の鳥と同じで、
上空から狙う猛禽類や、地上で動く捕食動物の影響を受けます。

とくに、餌を探すために藪の外へ出た瞬間が危険になります。
落ち葉の上で長く採食していると、見つかる確率が上がります。

成鳥より弱いのは、巣にいる卵やヒナの時期です。
巣が低い位置にあると、捕食されやすくなります。

一方で、藪が濃い場所では身を隠しやすく、
捕食される機会は減ります。

ガビチョウとは?天敵の少なさと特定外来生物の背景をどう見る?

ガビチョウの生息地は?

ガビチョウは、藪や下草が発達した環境を中心に生息します。
高木が密集する森林内部より、林の縁、竹林、雑木林、ササ原など、地面近くに隠れ場所がある場所を選びます。

行動の多くが地上付近に集中するため、落ち葉が積もり、昆虫や小動物が確保しやすい環境が向いています。
下草が刈り払われた場所や、林床が裸地化した森では定着しにくくなります。

日本での分布は、本州中部以西、四国、九州を中心に確認されています。
ただし連続的ではなく、藪環境が点在する地域ごとに局地的に分布します。

移動能力が低いというより、条件の合う環境が途切れると分布も途切れる、という性質が強く出ます。
谷沿いや里山のように環境が連続する場所では、分布がつながりやすくなります。

近年は、夏の繁殖期に山地や亜高山帯の林縁で鳴き声が確認される例も増えています。
ただし、冬季に同じ場所で越冬できるかどうかは別で、積雪が長期化する地域では定着が難しくなります。

ガビチョウはなぜ日本に?

ガビチョウは、日本の在来鳥類ではありません。
原産地は中国南部から東南アジアにかけてで、古くから鳴き声を目的に飼育されてきた鳥です。

日本でも同様に、観賞用の愛玩鳥として輸入・飼育されてきました。
江戸時代から飼育の記録はありますが、長い間、野外で目立つ存在ではありませんでした。

状況が変わったのは20世紀後半です。
飼育個体の逸出や放逐が繰り返され、野外で繁殖に成功する個体群が現れ始めました。

野外記録が人の生活圏に近い場所から始まっている点は、この経緯と一致します。
自然分布を広げる鳥のように、山奥から突然現れる広がり方ではありません。

また、日本の環境がガビチョウの生態と相性が良かったことも無視できません。
藪が残る里山環境、積雪の少ない地域、地上採食が可能な期間の長さが、定着を後押ししました。

ガビチョウの歴史は?

ガビチョウの歴史を理解するには、「飼育の歴史」と「野外化の歴史」を分けて考える必要があります。
飼育自体は古くから行われていましたが、野外で定着したのは比較的最近です。

野外での早い記録は、1980年代の北九州で確認されています。
その後、1990年代に入ると関東・中部地方でも記録が増え、分布が広がっていきました。

この広がり方には地域差があり、一方向に波のように進んだわけではありません。
複数の地域で、独立して野外化が起きた可能性が指摘されています。

2000年代に入ると、外来種問題が制度的に整理され、
ガビチョウも分布調査や影響評価の対象として扱われるようになります。

この過程で、在来の鳥類と生息空間が重なること、
藪環境で優占的になりやすい点などが問題視されました。

現在も分布は固定されておらず、新しい記録が追加され続けています。

ガビチョウの種類は?

一般に「ガビチョウ」と呼ばれているのは、学名 Garrulax canorus の1種を指します。
日本で野外に定着している個体の大半も、この種です。

ただし、分類上はガビチョウ属(または近縁グループ)に複数の種が含まれます。
ヒゲガビチョウ、カオジロガビチョウ、カオグロガビチョウなどがその例です。

これらは外見や鳴き声が似ており、観賞用として同じ文脈で扱われてきました。
そのため、流通や飼育の歴史をたどると、種が混在していた可能性も指摘されています。

日本の外来種対策では、
「ガビチョウ単独」ではなく「ガビチョウ類」としてまとめて扱われる場面があります。
これは、見分けが難しいことと、生態的な役割が重なるためです。

よく一緒に話題に出るソウシチョウは、見た目や分布が近いものの別の属に分類されます。
混同されやすいですが、分類学的には別系統です。

ガビチョウは特定外来生物なの?

ガビチョウは、外来生物法にもとづく特定外来生物に指定されています。
この指定は2005年に行われ、以降、飼育・運搬・譲渡などが原則として禁止されています。

重要なのは、この指定が「被害が確定したから」ではない点です。
在来生態系への影響が生じるおそれがあると判断された段階で、予防的に指定されています。

ガビチョウは、地上性で藪を主な生活空間とするため、
同じ空間を使う在来の小型〜中型鳥類と競合しやすい性質を持ちます。

また、鳴き声が大きく目立つことから、人の生活圏で問題視されやすい側面もあります。
ただし、指定理由は騒音ではなく、生態系への影響の可能性です。

個人が見つけたガビチョウを捕まえたり飼ったりすることはできません。
野鳥の捕獲は別の法律でも制限されており、対応は行政や専門機関の枠内で行われます。

ガビチョウは特定外来生物に指定されており、飼育や運搬などは法律で制限されています。
制度上の位置づけや規制内容については、環境省が公開している特定外来生物の解説ページでも確認できます。

ガビチョウの習性は?

ガビチョウは、基本的に同じ地域に定着して暮らす鳥です。
毎年長距離を移動する渡り鳥ではありません。

行動の中心は地面に近い層で、藪の中を移動しながら餌を探します。
飛び立つより、走って移動する場面が多く見られます。

繁殖期には、同じ場所で繰り返しさえずりを行います。
視界の悪い藪環境では、声による存在の主張が有効になります。

近年は、夏季に山地や標高の高い地域で鳴き声が確認される例も増えています。
季節的に利用する高度を変えている可能性が指摘されています。

一方で、積雪期に地面で採食できない環境では生存が難しくなります。
このため、高標高域での恒常的な定着とは切り分けて考えられています。

ガビチョウとは・天敵を含めた総括

  • ガビチョウとは、スズメ目チメドリ科に属する外来の鳥で、観賞用として持ち込まれた個体が野外に定着した種である
  • 日本で見られるガビチョウは、藪や下草が残る環境を好み、地面近くで行動する性質が強い
  • 見た目の最大の特徴は、目の後ろまで伸びる白い筋と、黄褐色を基調とした体色にある
  • 鳴き声は澄んだ笛のような音が連続するさえずりが中心で、藪の中からでもよく通る
  • 食べ物は昆虫類を軸に果実も利用するが、地上採食に依存するため積雪には弱い
  • 性格は鳴き声の印象とは異なり、行動自体は慎重で、姿をさらす時間は短い
  • ガビチョウの天敵は存在するが、藪中心の生活により捕食場面が目につきにくい
  • 日本での分布は、本州中部以西・四国・九州を中心に、藪環境が連続する地域に偏る
  • 日本に定着した理由は、人為的な持ち込みと、日本の里山環境が生態と合致したためと考えられる
  • ガビチョウは特定外来生物に指定されており、飼育や捕獲には法的な制限がある
  • 生息地・習性・食性を合わせて見ることで、なぜ増え、なぜ管理対象になったのかが理解しやすくなる

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