カバは何を食べる？知られざる生態と特徴から強さ・種類・天敵まで徹底解説

カバは一見おとなしく草食動物らしい姿をしていますが、実際には何を食べているのか正確に知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。

カバとはどのような動物なのか、特徴や種類の違い、生息地での暮らし方を知ることで、見慣れたイメージが大きく変わって見えるはずです。

さらに天敵との関係や驚くほどの速度、噛む力の強さ、時に狂暴とされる性格まで掘り下げていくと、カバの本当の姿に近づけます。

巨大な体を持ちながらも絶滅危惧種として保護の対象となっている現実も、知っておきたい重要な視点です。

この記事ではカバは何を食べるのかという素朴な疑問を入り口に、強さや魅力を多角的に探っていきます。

カバは何を食べる？カバとはどんな特徴を持つ動物なのか

カバとはどんな動物なのか？

カバは陸上ではゾウに次いで大きな動物のひとつであり、偶蹄目（ぐうていもく：偶数の指を持つ草食系の動物群）に属します。見た目はブタに似ていますが、遺伝的にはクジラやイルカに近い仲間であることが分子系統学の研究から判明しています。

体長は約3.5〜4メートル、体重はオスで1500〜2000キロにも達し、メスでも1000キロ前後あります。生息地はアフリカのサハラ以南の水辺で、川や湖に身を沈めて生活しています。日中は体温を下げ、皮膚を守るためにほとんど水中で過ごします。

特徴的なのは皮膚から分泌される赤みがかった液体で、これは血ではなく「ヒポスドル酸」と呼ばれる物質で、紫外線を防ぐ日焼け止めや殺菌効果を持ちます。

そのため「血の汗」と呼ばれていますが、実際には汗ではありません。さらに、群れを作って生活し、強い縄張り意識を持つことでも知られています。

カバの特徴はどんなところにあるのか？

カバの特徴を挙げると、まず「水陸両方に適応した生活」があります。昼間はほとんど水中で休み、夜になると陸に上がり草を食べに行きます。耳・鼻・目が頭の上に並んで配置されているため、水中に沈んでも水面に出して呼吸や周囲の確認ができます。

また、カバの顎は150度以上開き、長さ50センチに達する牙を持っています。これは食事に使うよりも、縄張り争いや威嚇に用いられる武器です。見た目はどっしりとしていますが、実際には短距離で時速40キロに迫る速さで走ることができ、人間が逃げ切るのは困難です。

さらに、厚い皮膚と脂肪は外敵から身を守る盾となります。群れで暮らし、リーダーとなるオスが水辺を支配する点も特徴です。このように、カバは「草食で大人しい」という一般的なイメージを覆し、攻撃力・防御力・社会性を兼ね備えた存在なのです。

カバの種類は何があるのか？

カバには2種類が存在します。ひとつは最もよく知られる**アフリカカバ（Hippopotamus amphibius）で、体長3.5〜4メートル、体重は最大で2トンに達する巨体を持ちます。

群れを作り、川や湖などの開けた水辺を好む典型的なカバです。もうひとつは西アフリカに生息するコビトカバ（Choeropsis liberiensis）**で、体長は1.5メートルほど、体重も200〜270キロ程度と小型です。

コビトカバは森林の湿地や川辺にひっそりと暮らし、単独行動を好み、夜行性が強い点が大きな違いです。アフリカカバは水中にいる時間が長いのに対し、コビトカバは陸上で過ごす時間が比較的多いとされます。

どちらの種も国際自然保護連合（IUCN）のレッドリストで絶滅危惧種に指定されており、とくにコビトカバは個体数が数千頭と少なく、森林伐採や狩猟で深刻な減少が続いています。

カバの生息地はどこなのか？

カバはアフリカ大陸のサハラ以南に広く分布し、特に東アフリカや南部アフリカで多く見られます。ウガンダ、タンザニア、ケニア、ボツワナなどが代表的な分布地域です。彼らは川や湖など淡水の水辺に依存しており、日中はほとんど水中で過ごします。

理由は体温の上昇を抑えるためと、乾燥から皮膚を守るためです。また、水辺の環境は天敵から身を守りやすいという利点もあります。カバは生態系にとっても重要な存在です。

大量に食べた草の残渣や糞が川に栄養分を供給し、魚や水生植物の成長を助けます。つまりカバは「水辺のエンジニア」とも呼べる役割を果たしています。

しかし現代では農地拡大やダム建設、都市化の影響で生息地は縮小傾向にあります。IUCNの報告では、地域によってはこの10年で個体数が20％以上減少した例もあります。生息地の破壊が進むと、カバだけでなく水辺全体の生態系が脅かされるのです。

カバは何を食べるのか？

カバは基本的に草食動物で、夜になると陸に上がり、短い草を中心に食べます。1晩に30キロもの草を食べることもあり、食欲は非常に旺盛です。彼らは夜間に20〜40キロ歩いて餌を探すため、採食行動そのものが体力を必要とします。

興味深いのは、カバが水中の植物をほとんど食べないことです。消化の仕組みが陸上植物に特化しており、水生植物を効率よく分解できないためです。

稀に肉を食べる例が報告されていますが、これは餓死を避けるためや異常行動とされ、通常の習性ではありません。研究によれば、カバは反芻動物のように複数の胃を持っていませんが、腸内に特殊な微生物を宿しており、繊維質の草を効率よく消化します。

この特徴から、彼らは「大量に草を消費して環境を変える動物」と位置づけられます。

カバの速度はどれくらいなのか？

カバは巨体にもかかわらず、短距離では驚くほど俊敏です。陸上では時速40キロ近くで走ることができ、これはオリンピック短距離走者を上回る速度です。

この能力は捕食者から逃れるためだけでなく、縄張り争いや群れを守る行動にも役立ちます。また水中では泳ぐのではなく、川底を蹴るように歩きながら移動します。

息を止めて潜水できる時間は約5分で、その間に方向転換や素早い移動を行うことが可能です。体重1トンを超える巨体が全力で突進してくる姿は、自然界でも圧倒的な迫力を誇ります。

実際にアフリカでは、観光用のボートや車にカバが突進する事故が毎年のように報告されています。つまりカバは「動かない草食動物」というイメージとはまったく異なり、俊敏さと攻撃性を兼ね備えた存在です。

カバは何を食べる？強さや大きさから見える噛む力と狂暴性の真実

カバの大きさはどれくらいなのか？

カバは陸上動物の中でゾウに次ぐ巨体を誇る哺乳類です。オスの体長は3.5〜4メートルに達し、体重は1500〜2000キロが一般的ですが、最大個体は2500キロを超えることもあります。メスも1000キロ以上あり、人間やライオンなどと比べても圧倒的に大きい存在です。

肩の高さは1.3〜1.5メートルほどですが、幅広い胴体と分厚い皮膚がさらに大きく見せています。この皮膚は約4センチもの厚みがあり、外敵から身を守る天然の鎧となっています。

体脂肪は少なく、水中で浮きにくいため、泳ぐよりも川底を歩くようにして移動します。こうした体の構造は水辺での生活に適応した進化の結果です。この巨大さは捕食者にとって手を出しにくい防御手段である一方、食料や水資源が不足した際には大きな体が逆に負担となります。

カバの噛む力はどのくらい強いのか？

カバの噛む力は動物界で最も強力な部類に入ります。最新の研究によると、その咬合力は1800kg以上と推定されており、ライオン（約650kg）やホホジロザメ（約1300kg）をも上回ります。

特に注目されるのは、50センチにも達する長大な犬歯で、縄張り争いや外敵への威嚇に使われます。この噛む力は食事のためというより、防衛や競争に適応して進化したものです。アフリカでは小舟を一撃で噛み砕いた事例や、クロコダイルに噛みついて追い払った事例が報告されています。

つまり「草食動物だから危険ではない」という認識は大きな誤解なのです。この強力な顎の力と牙は、カバがアフリカで最も人間にとって危険な動物とされる理由のひとつです。事実、毎年数百件の死亡事故がカバに関連して報告されています。

カバの強さは本当なのか？

カバの強さはその体格や噛む力だけでは説明できません。縄張り意識の強さと攻撃性も大きな要因です。オス同士は水辺をめぐって激しく争い、牙で相手を傷つけることも珍しくありません。

さらにカバは短距離なら時速40キロで走ることができ、これは人間どころかライオンに匹敵する速さです。水中では数分間潜水しながら素早く移動でき、敵の攻撃をかわしたり反撃に出ることも可能です。

また、群れで生活するため、複数の個体が協力して外敵を追い払うこともあります。アフリカでは「ゾウ」「サイ」と並び、カバは「三大危険動物」のひとつとして恐れられています。これは伝説や誇張ではなく、観察と統計が裏付けています。

カバは本当に狂暴なのか？

カバは見た目こそ草食動物らしい穏やかさを感じさせますが、実際には非常に気性が荒い動物です。特に縄張り意識が強く、自分の領域に侵入者を見つけると容赦なく攻撃します。

母カバは子どもを守るために、体を張って突進し、時にはワニやライオンに立ち向かうこともあります。アフリカでは、観光ボートや車を襲撃する事例が毎年のように報告されており、死亡事故の件数ではライオンやヒョウよりも多いとされます。

研究者によれば、カバは「無意味に狂暴なのではなく、防衛本能が極端に強い動物」であるとのことです。つまり、人間からすれば予測不能に見える行動も、カバにとっては縄張りや家族を守る自然な反応なのです。

こうした背景から、カバは「アフリカで最も危険な草食獣」と呼ばれる理由が明確になります。したがって、カバは本当に狂暴というより、「必然的に攻撃的になる状況が多い」動物と理解すべきなのです。

カバは絶滅危惧種なのか？

2025年現在、カバはIUCN（国際自然保護連合）のレッドリストで「危急（Vulnerable）」に分類されています。これは絶滅のリスクが高まっていることを意味します。個体数はおよそ12〜15万頭程度と推定されますが、20世紀半ばの数から比べると大きく減少しました。

その原因は主に2つです。第一に生息地の破壊で、農地拡大やダム建設によって水辺が失われつつあります。第二に密猟で、カバの牙は象牙の代替品として違法に取引され続けています。

さらに気候変動による干ばつや降水量の変化も、カバの生存を脅かしています。特にコビトカバは数千頭しか残っていないと推定され、絶滅の危険がさらに切迫しています。各国で保護活動が進められていますが、地域紛争や経済的な課題が壁となっています。

カバの天敵はどんな動物なのか？

成体のカバに自然界で立ち向かえる捕食者はほとんど存在しません。その大きさと力に加え、厚い皮膚と攻撃性が抑止力となっているからです。

しかし、子どものカバはライオンの群れや大型のクロコダイルに狙われることがあります。母カバは必死に守りますが、油断すると犠牲になるケースもあります。

ただし、カバにとって最も大きな脅威は肉食獣ではなく人間です。密猟による牙の乱獲、生息地の破壊、そして気候変動が個体数を大幅に減少させています。

近年では干ばつにより水辺が縮小し、群れが分断される事例も観察されています。つまり、カバの真の天敵は自然界の捕食者ではなく、人間と環境破壊そのものなのです。