セキセイインコとはどんな存在なのでしょうか。
ペットとして長年愛されてきた一方で、飼うのは大変だと感じる人も少なくありません。
色鮮やかな特徴や種類の多さ、そして人懐っこい性格は、多くの人を魅了してきました。
しかし実際に迎えるとなれば、世話の手間や値段、さらには寿命の長さまで気になる点は数多くあります。
セキセイインコの鳴き声やしゃべる能力、水浴びの習慣、食べ物の管理は本当に簡単なのでしょうか。
この記事では、セキセイインコのかわいい姿の裏側にある現実を掘り下げ、専門家の見解や知られざる魅力を紹介します。
- セキセイインコを飼いたいけれど、本当に大変なのか不安な方
- 鳴き声やしゃべる習性など、かわいい一面を知りたい方
- ペットとして迎える前に世話や寿命について理解したい方
- 種類や特徴を深く知り、自分に合うインコを探している方
- 動物好きで、セキセイインコの生態や専門的な視点に興味がある方
セキセイインコ 飼うのは大変?それでもかわいいと感じる理由は何か

セキセイインコとはどんな鳥なのか?
セキセイインコとは、オーストラリアを原産地とする小型のインコで、学名を「Melopsittacus undulatus」といいます。野生では乾燥地帯や草原に群れを作って生息しており、水場を求めて移動する生活をしています。
体長はおよそ18cm、体重は30〜40g程度と非常に小柄で、日本の家庭でも飼いやすいサイズ感です。
日本に輸入されたのは明治時代とされ、昭和期にペットブームとともに全国に広まりました。現在でも日本で最も多く飼われている鳥の一つで、ペットショップやブリーダーから容易に入手できます。そのため、初めて小鳥を飼う人が選ぶ入門種としても知られています。
ただし「手に入りやすい」ことは「誰でも簡単に飼える」という意味ではありません。群れで暮らす習性を持つため、人とのコミュニケーションや環境の工夫が欠かせません。孤独を感じるとストレス行動(羽を抜く、自咬症など)に発展することもあるからです。
セキセイインコの特徴は何が魅力なのか?
セキセイインコの魅力は、なんといってもその豊富なカラーバリエーションにあります。野生種は緑色と黄色が基本ですが、飼育下では突然変異や品種改良が重ねられ、2025年現在では200種類以上の色変わりが確認されています。青や白、黄色に紫、さらには羽に模様の入った「オパーリン」や体色が淡い「アルビノ」など、多様な姿を楽しめます。
また、小さい体ながら運動量が多く、元気に飛び回る姿はとても活発です。放鳥時には部屋中を飛び回り、飼い主の肩や手に止まる様子は愛らしさそのものです。羽繕いをしたり、鏡に映る自分に話しかけたりする姿も観察でき、その行動一つひとつに「かわいい」と感じさせられます。
さらに、オスは特に人懐っこく、飼い主の声や仕草を真似することがあり、家庭に笑いをもたらしてくれます。一方で、メスはやや気が強く、巣箱を好む習性があります。この違いは飼育スタイルに影響を与えるため、飼い主は特徴を理解したうえで接することが大切です。
ただし、この「魅力的な特徴」は同時に注意点でもあります。色の違いに惹かれて珍しい個体を購入しても、世話の手間はどの種類も同じです。羽の色にかかわらず、毎日の食事管理や清掃、放鳥は必要不可欠だからです。
セキセイインコの性格はかわいいのか?
セキセイインコの性格は、明るく活発で好奇心旺盛といわれます。特にオスはおしゃべり好きで、人間の言葉を覚えたり、飼い主の動きを観察して真似したりすることがあります。この行動は「人と仲良くなりたい」という気持ちの表れとされ、とてもかわいらしいものです。
一方でメスは、巣作り本能が強く、気が強い個体も多いです。オスほど人の言葉を覚えない傾向がありますが、甘える姿や羽を膨らませてリラックスする様子は十分に愛らしい特徴といえます。性格は個体差が大きく、「おっとり型」もいれば「やんちゃ型」もいます。まさに人間と同じように多様性があるのです。
ただし「かわいい性格」だけに注目して飼うと、思わぬ難しさに直面します。セキセイインコは群れで暮らすため、放っておかれると強い孤独を感じ、ストレスを溜めてしまいます。これは過剰な鳴き声や自傷行動につながることもあり、飼い主が日々関わり続ける姿勢が求められます。
また、信頼関係を築けば肩や指に止まり、スキンシップを求めてくるようになりますが、それには時間と根気が必要です。かわいい仕草は自然に生まれるのではなく、飼い主が愛情を持って接することで育まれるものです。
セキセイインコの世話は本当に大変なのか?
セキセイインコの世話は、一見すると簡単そうに見えるかもしれません。ケージにエサと水を置いておけば大丈夫と思う人もいますが、実際には毎日の管理が必要不可欠です。例えば、ケージの底には糞やエサの殻がたまりやすく、放置すると不衛生になり細菌やカビの繁殖を招きます。これが原因で呼吸器疾患や感染症にかかる事例も知られています。
また、運動不足を防ぐための放鳥は欠かせません。最低でも1日30分〜1時間程度は自由に飛ばせることが望ましく、これを怠ると肥満やストレスから体調を崩すリスクが高まります。放鳥の際には窓やドアを閉め、危険な物を片付けるなど安全対策も必要です。
さらに、温度や湿度の管理も飼育の難しさの一つです。セキセイインコは暑さには比較的強いですが、寒さには弱いため、冬場にはヒーターを用いた保温が求められます。室温は20〜28度を保つのが理想とされ、急激な温度変化は体調不良の原因になります。
つまり「大変さ」とは特別な作業があるわけではなく、毎日の小さな習慣を欠かさず続けることにあります。清掃、温度管理、放鳥、エサや水の交換といった積み重ねが健康を守る鍵です。これを楽しめる人にとっては充実した時間になりますが、負担と感じる人にとっては継続が難しくなります。
詳しくは環境省の公式情報も参照してください
セキセイインコの鳴き声はうるさいのか?

セキセイインコの鳴き声は、他の鳥に比べると小さめですが、高く甲高い声を繰り返すことが多いため、飼育環境によっては「うるさい」と感じられることがあります。特に朝や夕方の時間帯は活発になり、大きな声で仲間や飼い主に呼びかけるように鳴きます。これは自然界で群れ同士が連絡を取り合う習性の名残であり、異常ではありません。
一方で、セキセイインコは満足しているときやリラックスしているときには、柔らかい声でさえずることもあります。このさえずりを心地よく感じる人も多く、「かわいい声」と表現されることも少なくありません。つまり、鳴き声の受け取り方は飼い主の生活環境や感覚に大きく左右されます。
鳴き声が過剰に大きくなる場合、多くはストレスや退屈が原因です。放鳥時間が不足していたり、飼い主とのコミュニケーションが足りなかったりすると、大声で鳴いて気を引こうとするのです。そのため、遊びや声掛けを通じて満足感を与えることが騒音対策にもつながります。
また、個体によって鳴き方に違いがあり、よくしゃべるオスは言葉や音を交えながら鳴くこともあります。これを「かわいい」と楽しむ人もいれば、静かな環境を望む人にとっては負担になりかねません。
セキセイインコの食べ物は何を与えればいいのか?
セキセイインコの食事は健康を大きく左右する重要なポイントです。従来はシード(ヒエやアワ、キビなどの穀物)が主食とされてきましたが、これだけでは栄養が偏り、ビタミンやミネラル不足を招くことが指摘されています。2025年現在では、栄養バランスを考慮して作られたペレット(人工飼料)を主食にすることが推奨されています。
ペレットは必要な栄養素が均等に含まれており、健康維持に効果的です。ただし嗜好性が低いため、シードに慣れたインコはなかなか切り替えてくれないこともあります。そのため、シードと混ぜながら徐々にペレットの割合を増やす工夫が必要です。
補助食としては、ニンジンやブロッコリー、小松菜などの野菜、リンゴやみかんなどの果物が与えられます。ただし糖分の多い果物は与えすぎに注意し、必ず種は取り除く必要があります。さらに、アボカドやチョコレート、カフェインを含む食品は中毒を引き起こすため絶対に与えてはいけません。
水も重要で、新鮮な水を毎日交換することが欠かせません。特に夏場は水質が悪化しやすいため、こまめな交換が推奨されます。これを怠ると細菌の繁殖によって体調を崩す危険性があります。
セキセイインコ 飼うのは大変?かわいい一面と現実をどう両立できるのか

セキセイインコの種類はどれくらいあるのか?
セキセイインコは、原種の緑色をもとに人の手で品種改良が重ねられ、現在では200種類以上のカラーバリエーションが存在するとされています。性格に大きな違いはないものの、色や模様の違いは見た目の印象に大きく影響し、選ぶ楽しみにつながります。主な種類を整理すると次の通りです。
- ノーマル:原種に近い姿。緑と黄色を基調とした最も一般的なタイプ。丈夫で飼いやすい。
- ブルー系:鮮やかな青や水色を基調とした個体。日本でも人気が高いカラー。
- ホワイト系:全身が白い羽色を持つ個体。清潔感があり、希少性も高い。
- オパーリン:背中や羽の模様が広がり、柔らかい印象を与えるタイプ。愛好家に人気。
- ハルクイン:顔や体の模様がはっきりしている。黄色い顔と青い体など、独特の組み合わせが特徴。
- ルチノー:全身が黄色で赤い目を持つタイプ。アルビノの変種で、鮮やかな体色が魅力。
- アルビノ:全身が真っ白で赤い目を持つ個体。非常に美しいが、体が弱い傾向もあるとされる。
- スパングル:羽に斑点のような模様が現れる品種。観賞性が高く、コレクターにも好まれる。
- パイド(斑入り):羽に不規則な斑模様を持つ個体。模様の出方は1羽ごとに異なり個性が強い。
- クリアウィング:翼の色が淡く、体の色が鮮やかに残るタイプ。透明感のある見た目が特徴。
- シナモン:通常の黒い模様が茶色になる品種。柔らかい印象を与える。
- バイオレット:紫がかった体色を持つ個体。希少で人気が高い。
このように、セキセイインコの種類は非常に豊富で、同じ「セキセイインコ」といっても見た目はまったく異なります。種類の選択は「性格」よりも「見た目の好み」に左右されやすいですが、珍しい個体は体質的に弱い場合もあるため注意が必要です。
セキセイインコの値段はいくらなのか?
セキセイインコの値段は、色や模様の希少性、購入する場所によって幅があります。もっとも一般的なカラー(緑系や青系)の場合、ペットショップでは1,500円〜3,000円程度で販売されています。これは他のインコやオウムに比べると非常に手に取りやすい価格帯です。
しかし、珍しいカラーや模様の品種は5,000円〜1万円以上になることもあります。特にアルビノやルチノーなどは人気が高く、価格が安定して高めです。さらに、専門のブリーダーから購入する場合には血統管理がされていることもあり、健康面に配慮されている分だけ高額になる傾向があります。
ここで注意したいのは「値段の安さ=お得」ではないという点です。あまりに安く販売されている場合、繁殖環境や健康状態に不安が残ることもあります。例えば、病気を持ったまま流通している個体も存在し、購入後に動物病院で治療が必要になるケースもあります。
逆に、高い値段だからといって必ずしも健康で飼いやすい個体であるとは限りません。大切なのは、購入時に目の輝き、羽の艶、鼻やお尻の清潔さを確認し、信頼できる販売先から迎えることです。
セキセイインコはしゃべるのか?
セキセイインコは、小型鳥類の中でも特に「言葉を覚える力」に優れています。実際、世界中で数十語から100語以上の単語を覚えた事例が報告されており、その知能の高さには驚かされます。特にオスの方がしゃべる能力に優れており、飼い主の声や生活音を真似ることが多いです。
ただし、すべてのセキセイインコがしゃべるわけではありません。性格や環境、飼い主との関わり方によって差があり、なかには一言もしゃべらない個体もいます。教える際には毎日同じ言葉を繰り返し聞かせることが大切で、愛情と根気が必要です。
セキセイインコが言葉を覚えるのは、人との絆を深めたいという社会性の表れでもあります。つまり「しゃべること自体」が目的ではなく、「飼い主とコミュニケーションをとりたい」という気持ちの現れなのです。
また、言葉だけでなく口笛や電子音を真似することもあり、家庭の中でユーモラスな存在となります。かわいい声で名前を呼ばれたりすると、飼い主にとって大きな喜びとなります。
セキセイインコの水浴びは必要なのか?

セキセイインコにとって水浴びは、羽を清潔に保つために欠かせない行動です。羽毛には油分やホコリがつきやすく、そのままにしておくと飛ぶ力が落ちたり、羽の劣化が早まったりします。水浴びをすることで羽が整い、体温調整や皮膚の健康維持にもつながります。
2025年現在の飼育指導では、週に2〜3回の水浴びが推奨されています。方法は大きく2つあり、水を張った浅い容器を用意する方法と、霧吹きで優しく水をかけてあげる方法です。ただし、個体によっては水を怖がる場合があるため、強制せずに少しずつ慣れさせることが大切です。
水浴びはストレス解消の役割も果たし、気分転換や遊びの一部として楽しむ個体も多いです。一方で、水浴びを怠ると羽が脂っぽくなり、細菌や寄生虫が繁殖しやすくなります。これは「PBFD(オウム類くちばし羽毛病)」などの重大な病気の発症リスクを高める要因にもなり得ます。
また、冬場は寒さから体を冷やす危険があるため、室温管理を徹底した上で行う必要があります。水浴びの後は自然乾燥させるのが基本ですが、寒い時期はヒーターを併用して体を冷やさないよう注意しなければなりません。
セキセイインコの寿命はどれくらいなのか?
セキセイインコの寿命は、飼育環境や食事管理の良し悪しによって大きく変わります。野生では天敵や過酷な環境のため5年ほどしか生きられませんが、飼育下では平均で7〜10年、長い場合には12年以上生きることも珍しくありません。実際に国内外では15年以上生きた記録もあり、セキセイインコの長寿は飼い主の努力によって大きく左右されることがわかります。
寿命を延ばすためのポイントは、栄養バランスの取れた食事、適切な放鳥時間、そして清潔な環境です。特に、肥満や肝臓疾患、腫瘍はセキセイインコによく見られる病気であり、これらは食事や運動不足と強く関係しています。また、定期的な健康診断を受けることで、病気の早期発見が可能になり、寿命を延ばすことにもつながります。
寿命が長いということは、それだけ長期的な責任を持たなければならないということでもあります。小さな体のセキセイインコですが、10年以上にわたり毎日世話を続ける覚悟が必要です。「かわいい」という気持ちだけで迎えてしまうと、その責任の重さに後悔する人も少なくありません。
セキセイインコをペットにする覚悟は必要か?
セキセイインコは手に入りやすく、値段も比較的安価なため「気軽に飼える鳥」と思われがちです。しかし、実際には毎日の世話と長期にわたる責任が伴います。エサ代やケージ、止まり木などの備品だけでなく、病気になった際の動物病院の診察費も必要です。鳥を診られる専門の獣医は限られており、治療費が想像以上にかかることもあります。
また、セキセイインコは強い社会性を持つため、飼い主とのコミュニケーションが不足するとストレスを抱えます。放っておくと鳴き声が大きくなったり、羽を抜くなどの問題行動につながります。つまり「かわいい」だけで選んでしまうと、思っていた以上に大変な現実に直面するのです。
さらに、寿命が10年以上あることを考えると、ライフスタイルの変化にも対応しなければなりません。進学や転居、結婚、出産などで環境が変わったときにも、インコを手放さずに最後まで責任を持てるかどうかが大切です。
セキセイインコを飼うことは、日々の癒しや喜びをもたらす一方で、決して軽い選択ではありません。
セキセイインコを飼うのは大変?かわいいという魅力と現実を踏まえた総括
- セキセイインコはオーストラリア原産の小型インコで、日本でも長年ペットとして人気がある。
- 200種類以上のカラーバリエーションや模様が存在し、見た目の多様性が飼い主を惹きつける。
- 性格は明るく活発で、人懐っこく「かわいい」と感じられる仕草が多い一方、個体差が大きい。
- 毎日の世話(掃除・放鳥・温度管理)は必須で、継続できるかどうかが飼育成功の分かれ目になる。
- 鳴き声は高く甲高い声が特徴で、癒しになる場合もあれば「大変」と感じる場合もある。
- 食事はシード中心では栄養不足となりやすく、ペレットや野菜・果物を組み合わせた管理が求められる。
- 一般的な値段は1,500〜3,000円と手頃だが、希少種は1万円を超えることもあり、購入先の信頼性が重要。
- 「しゃべる能力」を持つが、個体差があり、飼い主の根気と愛情が成果を左右する。
- 水浴びは健康維持に不可欠で、週2〜3回を目安に習慣づけることが望ましい。
- 平均寿命は7〜10年、最長で15年生きる例もあり、長期的な責任を持つ必要がある。
- 経済的負担やライフスタイルの変化にも耐えられる覚悟が、飼育前に問われる。
- 「飼うのは大変」という現実の裏側には、人とインコの深い絆やかけがえのない「かわいい瞬間」が待っている。