優雅な立ち姿と流れるような毛並みで、人々を魅了してやまないアフガンハウンドとボルゾイ。
どちらも「貴族犬」として知られていますが、その違いを正確に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、見た目の違いだけでなく、性格・知能・スピード・歴史的背景まで専門的に掘り下げます。
愛犬家やこれから飼育を検討している方が、両者の魅力を深く理解し、自分に合った犬種を見つけられるように、獣医学・行動学の知見をもとにわかりやすく解説していきます。
- アフガンハウンドとボルゾイの違いが気になる方
- 大型で優雅な犬に憧れている方
- ボルゾイの性格や飼いやすさを知りたい方
- ボルゾイを飼いたいと思っている方
アフガンハウンドとボルゾイの違いとは?

ボルゾイとはどんな犬?
ボルゾイはロシア原産のサイトハウンド(視覚で獲物を追跡する猟犬)です。
本来は、ロシアの広大な平原でウサギやオオカミを追う「コーシング(走って追う猟)」に使われてきました。
体型は長い脚と深い胸、柔軟な背中が特徴で、短距離で高いスピードを出せる構造になっています。
被毛は長くて滑らかで、直毛から軽いウェーブまで幅があります。
寒冷地での狩猟に適応しているため、厚みのある被毛が体を冷たい風や雪から守ります。
首元には豊かな飾り毛(フリル)があり、優雅な印象を与えます。
性格は非常に穏やかで、家庭では静かに過ごす個体が多いです。
一方で、動くものを追いたくなる本能(プレイドライブ)は強く、屋外ではリード管理が欠かせません。
知能も高く、命令をそのまま実行するより「理解してから動く」傾向があります。
そのため、しつけは体罰ではなく褒める方法(陽性強化)が効果的です。
短時間で成功体験を積み重ねるトレーニングが向いており、飽きやすい面にも配慮が必要です。
暑さには弱いため、夏場は涼しい時間帯に散歩を行い、冷却マットやエアコン管理も大切です。
アフガンハウンドとボルゾイは何が違う?
アフガンハウンドとボルゾイは見た目が似ていますが、原産地や用途、性格までまったく異なります。
アフガンハウンドはアフガニスタンの山岳地帯で生まれ、険しい地形を素早く走り抜けるために発達しました。
一方、ボルゾイは広いロシア平原を走るために改良され、より滑らかで直線的な体型をしています。
被毛の質にも違いがあります。
アフガンハウンドは絹のようなまっすぐの長毛で、毛量が非常に多いのが特徴です。
対してボルゾイの毛は波打つようなウェーブで厚みがあり、寒冷地でも保温性を発揮します。
性格面では、アフガンハウンドは独立心が強く、誇り高い性格を持っています。
ボルゾイは内向的で、静かで落ち着いた気質が特徴です。
どちらも知的ですが、アフガンは「自分の判断で動くタイプ」、ボルゾイは「人の意図を汲むタイプ」といえます。
また、走り方にも違いがあります。
アフガンハウンドは方向転換の早さに優れ、岩場などの障害物を避けながら走れます。
ボルゾイは直線的なスプリントを得意とし、最短距離で獲物を追い詰めます。
ボルゾイやアフガンハウンドの最新の犬種基準や飼育ガイドラインについては、
ジャパンケネルクラブ(JKC)の公式情報も参考にすると安心です。
ボルゾイの特徴は?
ボルゾイの最大の特徴は、優雅な外見と驚くべきスピード能力を併せ持つ点です。
細長い体と深い胸は空気抵抗を抑え、全力疾走のときに高い推進力を発揮します。
走るときの姿勢は地面すれすれで、まるで風を切るような滑らかさがあります。
体重は35〜45kg前後ですが、骨格が軽く無駄のない筋肉で構成されており、実際の見た目よりも軽やかに動きます。
被毛はふんわりと波打ち、首元や尾、脚の後ろ側に長い飾り毛が見られます。
毛色はホワイト、ゴールド、クリーム、ブリンドルなど多彩で、どの色も上品な印象を与えます。
性格は穏やかで感受性が高く、静かな環境を好みます。
物音や大声に敏感なため、穏やかなトーンで接するのが理想的です。
家庭では落ち着いた性格で、無駄吠えも少なく、室内でも静かに過ごせます。
ただし、動くものへの反応が強いため、散歩では急なダッシュに注意が必要です。
リードを短めに持ち、視覚刺激に慣らす社会化トレーニングが大切です。
ボルゾイの性格はどんな感じ?

ボルゾイは「穏やかで知的、そして誇り高い」という言葉がぴったりの犬です。
普段は落ち着いて静かに過ごすことを好み、家庭の中ではとても穏やかです。
無駄吠えが少なく、来客があっても静かに観察するような態度を見せます。
一方で、飼い主に対しては非常に忠実で、深い信頼関係を築くと強い絆を見せます。
しかし、初対面の人や環境には慎重で、すぐに心を開くタイプではありません。
これは、もともと単独行動を多く行っていた猟犬としての習性が影響しています。
しつけでは「理解してから行動する」知的な特性を持つため、命令を繰り返すより、
なぜその行動が求められているのかを学ばせるように進めると良い結果が出ます。
体罰や怒鳴り声には強いストレスを感じるため、褒めて育てる方法が適しています。
また、感情を表に出すことは少なくても、実はとても感受性が高く、
飼い主の声のトーンや表情から感情を読み取る能力に長けています。
日々のコミュニケーションでは、穏やかな言葉と安心できる時間の共有が大切です。
ボルゾイはどれくらい速く走る?
ボルゾイは、犬の中でもトップクラスのスプリント能力を誇ります。
その最高速度は時速50〜60kmに達し、短距離での加速力は非常に高いです。
このスピードは、かつて平原でウサギやオオカミを追うために進化した結果です。
体の構造を見ると、速さの理由がよくわかります。
深い胸によって大きな肺を持ち、長い脚で広いストライド(歩幅)を確保します。
さらに、背中がしなやかに曲がることで、全身をバネのように使った走りが可能です。
ボルゾイの走り方は、いわゆる「ダブルサスペンション・ギャロップ」。
全ての脚が一瞬地面から離れることで、風のように滑らかに進みます。
この走法は、サルーキやグレイハウンドなど他のサイトハウンドにも共通しています。
ただし、ボルゾイは瞬発力型で、持久力はあまり高くありません。
そのため、長時間の運動よりも短い全力疾走を定期的に行うのが理想です。
広いドッグランや安全なフィールドでのフリーランが最も適しています。
また、足の関節や腱への負担を減らすため、舗装路より芝生や土の地面が安全です。
この運動を定期的に行えば、筋力と心肺機能が保たれ、ストレス発散にもつながります。
ボルゾイは飼いやすい犬なの?
ボルゾイは性格が穏やかで吠えにくく、家庭では静かに過ごすため、
見た目に反して「飼いやすい」と感じる人も少なくありません。
ただし、これは適した環境と理解ある飼い主が前提となります。
まず必要なのは、広めの生活スペースと十分な運動時間です。
大型犬のため、毎日の散歩は1日2回、1回あたり30〜60分程度が理想です。
さらに、週に数回は安全な場所で全力疾走できる環境を確保することが望ましいです。
食事面では、関節や心臓の健康を守るために、高品質のフードを選びましょう。
特に成長期にはカルシウムやたんぱく質のバランスが重要です。
また、体が大きい分だけ「胃捻転(いねんてん)」のリスクもあるため、
食後すぐの激しい運動は避けるなど、食事と運動のタイミングにも注意が必要です。
性格的には繊細で、人の感情に敏感なため、叱るよりも優しく導く方法が効果的です。
穏やかで静かな家庭に馴染みやすく、子どもや他の犬との共生も比較的良好です。
ただし、小動物への反応(本能的な追跡欲)は個体差があるため注意が必要です。
被毛の手入れも欠かせません。
週2〜3回のブラッシングで毛玉を防ぎ、換毛期には毎日ケアすると清潔に保てます。
抜け毛が多い時期でも、こまめな手入れをすることで快適に過ごせます。
総合的に見れば、ボルゾイは初心者よりも中〜上級者向けの犬種です。
静かな環境と時間の余裕がある家庭であれば、これほど優雅で穏やかなパートナーはいないでしょう。
ボルゾイをもっと知ろう|性格・寿命・値段・歴史まとめ

ボルゾイの寿命はどのくらい?
ボルゾイの平均寿命は10〜12年ほどで、大型犬の中では標準的な長さです。
体の大きい犬ほど寿命が短い傾向にありますが、近年は医療技術やフードの質が向上したことで、
12歳以上まで生きる個体も珍しくありません。
長寿の鍵は、適度な運動・栄養バランス・ストレスの少ない環境の3つです。
大型犬は関節への負担が大きいため、滑りにくい床材や適度な休息が欠かせません。
また、胃捻転(いねんてん)という急性の消化器疾患に注意が必要で、
食後の激しい運動を避けることが予防につながります。
食事面では、高品質なたんぱく質と関節を守るグルコサミン・コンドロイチンを含むフードが推奨されます。
肥満になると関節や心臓に負担がかかるため、体重管理も重要です。
1〜2歳までは急激な成長期のため、骨格形成に必要なカルシウム量にも注意が必要です。
10歳を過ぎる頃からは老化が進みやすくなり、
関節炎や白内障などのシニア犬特有の症状が見られることもあります。
定期的な健康診断と穏やかな運動を続けることで、
シニア期になってもゆったりとした時間を過ごせるでしょう。
ボルゾイの値段はいくら?
ボルゾイの子犬の価格相場は、40万〜70万円前後が一般的です。
血統や外見の特徴によって価格は変動し、
ドッグショー向けの優良血統犬は100万円を超えることもあります。
値段に大きく影響するのは、血統・毛色・性別・ブリーダーの信頼性です。
たとえば、白やクリームなど明るい毛色は人気が高く、やや高額になる傾向があります。
また、健康状態やワクチン接種の有無も価格に反映されます。
購入の際は「安さ」ではなく、飼育環境が整った信頼できるブリーダーを選ぶことが大切です。
狭い環境で多頭繁殖を行う悪質なブリーダーでは、遺伝疾患や社会性の欠如が見られることもあります。
親犬の健康状態や性格を確認できるか、譲渡前に見学できるかが信頼の目安になります。
また、購入費用のほかに維持費も考慮しましょう。
大型犬のため、フード代は月1〜2万円、年間医療費は5〜10万円程度が目安です。
トリミングは不要ですが、グルーミング用品やシャンプー代もかかります。
ボルゾイの知能は高い?
ボルゾイはとても賢く、感情を読む知能に優れた犬です。
ただし、ボーダーコリーやラブラドールのように「指示をすぐ実行するタイプ」とは違い、
「理解して納得してから行動する」タイプです。
このため、学習能力は高いのに“マイペース”に見られることもあります。
命令に対して一呼吸置くのは、意味を考えている証拠です。
こうした特性は、人間で言うところの“理性的な知性”に近いといえます。
ボルゾイは飼い主の声のトーンや表情から感情を読み取る力に長けています。
怒鳴り声や乱暴な態度には敏感に反応し、信頼関係を損なうこともあります。
一方で、褒める・落ち着いた声で話すなど、ポジティブな接し方を続けると非常に素直に応えます。
また、問題解決能力も高く、ドアを開けたりルートを覚えたりするのが得意です。
ただし、退屈に弱く、刺激のない環境ではストレスが溜まりやすい傾向もあります。
散歩コースを変えたり、知育玩具を与えたりすることで、知的好奇心を満たしてあげると良いでしょう。
ボルゾイの大きさはどれくらい?

ボルゾイは世界でも屈指の大型犬であり、成犬オスの体高は75〜85cm、メスは68〜78cmほどに達します。
体重はオスで35〜45kg前後、メスで30〜40kg程度が一般的です。
体が非常に長く、寝た時には全長が2m近くになることもあります。
見た目は大柄でも、骨格は意外に軽く、無駄のない筋肉構成をしています。
胸が深いため心肺機能が高く、走るための理想的な体形を備えています。
また、腰のラインが美しくカーブしており、この柔軟な背骨が高速走行を支えています。
体が大きいため、生活空間にも十分な広さが必要です。
立ち上がったときに頭がぶつからない高さ、横たわる際に十分な幅を確保しましょう。
滑りやすい床は関節を痛める原因になるため、カーペットやマットを敷くのが理想的です。
大型犬特有のリスクとして、関節炎や股関節形成不全などの疾患があります。
これらを予防するためには、幼犬期の急激な運動を避け、成長に合わせた栄養バランスを整えることが重要です。
ボルゾイの習性にはどんな特徴がある?
ボルゾイの最大の習性は、**視覚で動くものを追う本能(サイトハウンド特性)**にあります。
そのため、散歩中に鳥や小動物を見つけると本能的に走り出すことがあります。
この行動は攻撃性ではなく、獲物を追跡するDNAに刻まれた反応です。
家庭内では驚くほど静かで、吠えることはほとんどありません。
「静かな観察者」と言われるほど、周囲をよく見て状況を判断します。
集団よりも少人数での関係を好み、信頼を築いた相手には深い愛情を示します。
また、環境の変化や騒音には敏感で、落ち着いた空間を求めます。
長時間の留守番や急な生活リズムの変化はストレスの原因になるため、安定した日課を保つことが大切です。
感情表現は控えめですが、飼い主が落ち込んでいるとそっと寄り添うような優しさを見せることがあります。
群れのリーダーを観察して行動を決める習性もあり、
飼い主の態度や雰囲気がそのまま犬の行動に影響します。
飼い主が落ち着いていると、ボルゾイも穏やかに過ごす——まさに鏡のような関係です。
ボルゾイの歴史はいつから始まった?
ボルゾイの歴史は古く、約500年以上前のロシア帝国時代にさかのぼります。
「ボルゾイ(Borzoi)」という言葉はロシア語で「俊敏な・素早い」という意味を持ち、
その名の通り、貴族たちの狩猟犬として改良されてきました。
当時、ロシアの貴族社会ではオオカミ狩りが上流階級の娯楽として行われ、
ボルゾイはその主役として、数頭の群れで獲物を追い詰める役割を担っていました。
その美しい姿と俊敏な動きから「皇帝の犬」として愛され、
ロマノフ王朝の宮廷では、外国の王族への贈答犬としても扱われました。
しかし、1917年のロシア革命の際、貴族階級が没落するとともにボルゾイも一時期絶滅の危機に陥ります。
幸いにも、国外へ贈られた犬たちの血統が守られていたため、ヨーロッパやアメリカで再び繁殖が進みました。
その後、1920年代以降に国際的に認知され、現在ではFCI(国際畜犬連盟)によって正式に犬種登録されています。
現代のボルゾイは、狩猟犬としての役割を終え、
ショードッグや家庭犬としてその気品と静けさで愛されています。
ロシア貴族の象徴でありながら、今では世界中で「優雅さの象徴」として人気を誇ります。
アフガンハウンドとボルゾイの違い|総括
- アフガンハウンドとボルゾイは、見た目が似ていても原産地・体型・性格・猟のスタイルがまったく異なる。
- アフガンハウンドはアフガニスタンの山岳地帯で発展し、敏捷性と方向転換に優れた犬。
一方ボルゾイはロシアの平原で育ち、直線的なスピードと持久的な滑走力を備えている。 - ボルゾイの性格は穏やかで感受性が高く、飼い主に深い信頼を寄せる静かな知性派。
- 最高時速50〜60kmという驚異的なスピードを誇り、平原の狩猟犬として発達した背景を今も感じさせる。
- 平均寿命は10〜12年で、適度な運動・栄養バランス・ストレスの少ない生活が長生きの鍵となる。
- 子犬の価格相場は40万〜70万円で、血統やブリーダー環境によっては100万円を超える個体もいる。
- 知能は高く、指示を「理解してから動く」タイプ。しつけには短時間・褒めて終える方法が有効。
- ボルゾイの体高は最大85cmに達し、見た目の大きさに反して軽やかで優雅な動きを見せる。
- 習性として、動くものを追う本能(サイトハウンド特性)が強く、安全な環境での運動管理が必要。
- 歴史は500年以上前のロシア貴族社会に始まり、「皇帝の犬」として愛されてきた長い系譜を持つ。
- 現代ではショードッグや家庭犬として世界中で愛され、優雅さと静けさの象徴として定着している。
- 飼いやすさは環境次第で、静かで広いスペースと落ち着いた飼い主がいれば最良のパートナーになる。
- ボルゾイは「静と動」「知性と誇り」「優雅さと野性」を併せ持つ、まさにロシアの芸術的な犬種。
- アフガンハウンドと比較することで、ボルゾイが持つ独特の気品と内なる力がより際立つ。
- その存在は単なるペットではなく、長い歴史と人間との信頼関係の象徴として今日も輝き続けている。


