チャウチャウとは何か？なつく理由と原産国のルーツから魅力を徹底解説

もこもことした丸いシルエット、ライオンのたてがみのような毛並み、そして青黒い舌。

この独特な存在感を持つチャウチャウとは、どんな歴史を歩んできた犬なのでしょうか。

意外にも古代文明と深くつながっており、その原産国から受け継がれた習性や性格には、現代の私たちが知っておきたいポイントが数多くあります。

一見、距離を置くような表情に見えることもありますが、実は「なつくまでの過程に特徴がある犬種」として知られ、飼育のコツを知れば家庭犬としての魅力が大きく広がります。

本記事では、チャウチャウの成り立ち、特徴、習性、由来、寿命、そして値段の相場まで、専門家視点で体系的に解説します。

初めて知る事実や、ちょっと驚くようなルーツまで深掘りしますので、ぜひ最後までお読みください。

チャウチャウとはどんな犬？原産国から見る特徴とは

チャウチャウとはどんな犬？

チャウチャウは、中国を原産とする非常に古い系統の犬種で、現在知られている犬の中でも最古級のルーツを持つことで知られています。外見はずんぐりした体つきに広い頭、小さな三角の立ち耳、そしてライオンのたてがみのような豊かな首周りの毛が大きな特徴です。全身を覆うダブルコート（二重毛）は寒さに強く、外側は硬く内側は柔らかいため、古くから厳しい寒冷地帯でも活動できる体のつくりになっています。

さらに、青黒い舌や、後肢がまっすぐに伸びにくい独特の骨格による、ややぎこちない歩き方もチャウチャウならではの特徴です。こうした特徴は偶然ではなく、長い歴史の中で特定の役割を果たしてきた結果として受け継がれてきたものです。性格は落ち着いており、無駄な興奮が少なく、状況をよく観察してから行動する慎重なタイプです。

初対面では控えめでそっけなく見えることがありますが、これは警戒心が強いというより、相手を見極める古い犬種特有の性質です。信頼関係が築けると、静かに寄り添うように深い愛情を示す犬でもあります。体高は約43〜56cm、体重は20〜32kgほどで、見た目以上にがっしりとした存在感があります。

チャウチャウは清潔好きな一面もあり、トイレの覚えが早い、体を汚すのを嫌がるといった特徴が見られます。一方で自立心が強く、自分で判断したがる性質があるため、しつけは一貫性と落ち着いた態度が必要です。力で従わせる方法は反発を招きやすく、静かで丁寧なコミュニケーションが最も効果的です。

チャウチャウの原産国はどこ？

チャウチャウの原産国は中国で、特に北方の寒冷地域で発達した犬種とされています。この地域は冬の気候が非常に厳しく、広大な土地での生活や移動には耐寒性と持久力が求められました。チャウチャウの分厚い被毛やがっしりした体つきは、こうした気候への適応の結果だと考えられています。

古い記録には、チャウチャウに似た犬が紀元前の時代から存在していたことが示されており、狩猟、荷物運搬、家畜の護衛、住居の見張りなど、多くの役割を担っていたとされています。多目的に働ける「万能犬」として扱われていたため、体の強さと慎重な性格が自然と選ばれていきました。

また、チャウチャウは遺伝学の分野でも古くから独自のラインを保ってきた犬種とされ、現代の多くの犬種が作られる前から存続していた可能性が高いと考えられています。こうした背景は、現在のチャウチャウに見られる「独立心」「落ち着き」「慎重さ」にも深く影響しています。

現在では“Chow Chow”という英語名が一般的ですが、この名前はもともと中国から輸出された雑貨を指す言葉が転じて犬種名として定着したという説が有力です。それだけ古い時代から中国以外の地域でも価値ある犬として認識されていたことを示します。

チャウチャウの原産国や歴史について、より正確な基準を確認したい場合は、国際的な犬種標準をまとめた公式情報も参考になります。
特に以下の2つは信頼性が高く、チャウチャウの身体構造や理想的な特徴が詳しく説明されています。

・FCI公式「Chow Chow」犬種標準
・JKC公式「チャウチャウ」犬種標準

チャウチャウの舌はなぜ青黒い？

チャウチャウの舌が青黒いのは、遺伝的にメラニン（色素）が舌に多く沈着する体質を持っているためです。一般的な犬の舌はピンク色ですが、チャウチャウでは出生後の成長に伴って色が濃くなり、数週間から数ヶ月ほどで青黒い舌がはっきり現れるようになります。この特徴は病気ではなく、正常な遺伝的特性として知られています。

同じ中国原産のシャーペイにも同じ特徴が見られ、これらの犬種に共通する古い系統の遺伝的背景が舌の色に関わっていると考えられています。メラニン量が多くなることで舌全体が濃い青〜黒紫色に見え、個体によっては斑点状の色の濃淡があることもあります。

この舌の色は健康上の問題を引き起こすものではなく、むしろチャウチャウらしさを示す大切な特徴として扱われています。ドッグショーなどでは青黒い舌が「犬種の正しい特徴」として求められるほどで、ピンク色の部分が大きく残る場合は基準外とみなされることもあります。

ただし、通常とは異なる黒い斑点が急に現れたり、腫れや出血が見られる場合は、舌の色素沈着とは別の健康問題の可能性があるため、注意が必要です。これはチャウチャウに限らず、どの犬種でも同じことが言えます。

チャウチャウの特徴はどこに出る？

チャウチャウの特徴は、外見・骨格・歩き方・性格のすべてに現れています。まず外見では、厚みのあるダブルコートが最大の特徴で、外側の硬い毛が風や雪を防ぎ、内側の柔らかい毛が体温を保持する仕組みになっています。この被毛は、原産地である寒冷な地域で生き抜くために発達したもので、季節によって抜け毛の量がはっきり変わります。

顔の特徴としては、丸みを帯びた頭部と比較的平たいマズル（鼻先部分）、奥目で落ち着いた表情などが挙げられます。「クマのよう」と表現される理由は、骨格と筋肉の配置によって生まれる独特の丸みから来ています。この顔立ちは個性だけでなく、寒さや砂風から目や鼻を守る役割も果たしていると考えられています。

体の骨格では、後肢が真っすぐに伸びにくい構造が特徴的で、このためチャウチャウは“くぐもったようなぎこちない歩き方”をすることがあります。これは病気ではなく、もともとの体のつくりによるものです。こうした歩き方は見た目に重厚感があり、チャウチャウらしさを象徴する動きでもあります。

性格の特徴も外見と同じくらい大切です。チャウチャウは落ち着きがあり、興奮しにくい犬として知られています。急に飛び出したり、意味なく吠え続けるような行動は少なく、状況を観察してから判断する慎重さが見られます。これは古代の護衛犬としての役割が今も残っているためだと考えられています。

一方で、強い独立心を持っており、人にベッタリくっつくタイプではありません。しかし信頼関係ができると、自分から静かに寄り添うようになり、控えめながら深い愛情を示します。この“静かにそばにいる”という距離感は、チャウチャウと暮らすうえで大きな魅力となります。

チャウチャウの種類はどれ？

チャウチャウは主に毛質と毛色の組み合わせによって種類が分類されます。毛質には「ラフコート（長毛）」と「スムースコート（短毛）」の2タイプがあり、どちらも密度の高い二重毛ですが、見た目と手触りが大きく異なります。ラフコートはもこもことしたボリュームが魅力で、スムースコートは全体が引き締まった印象になります。

毛色の種類は非常に豊富で、レッド、ブラック、クリーム、ブルー、フォーンなどがよく知られています。レッドはもっとも一般的で、チャウチャウらしい温かく柔らかい雰囲気を演出します。ブルーやフォーンといった希少なカラーは国内でも見かける機会が少なく、ブリーダーによって取り扱いが限定される場合があります。

種類によって見た目の印象は大きく変わりますが、チャウチャウとしての性格の傾向は大きく変わらないとされています。つまり、毛質や毛色が違っても、独立心が強く落ち着いた気質は共通して見られるということです。一方で毛質によってお手入れの難易度は変わり、ラフコートは日常的なブラッシングが欠かせません。

スムースコートは比較的抜け毛が少なく、家庭での手入れがしやすい点がメリットです。ただし、どちらのタイプであっても換毛期には抜け毛が増えるため、季節によってケアの量は変動します。毛色による性格の違いは科学的には証明されていませんが、同じ毛色に特定の特徴を感じる飼い主がいるのは、個体差や遺伝ラインの影響が重なっているためだと考えられています。

チャウチャウの寿命はどれくらい？

チャウチャウの寿命はおおむね10〜12年とされており、中型犬としては標準的な長さです。ただし、寿命は環境・遺伝・日々のケアの3つで大きく変わるため、一概に数字だけで判断せず、個々の生活環境を整えることがなにより重要です。チャウチャウは骨格がしっかりしている反面、関節への負担がかかりやすく、股関節形成不全などの疾患に注意が必要です。

また、皮膚が厚く被毛が密集しているため、皮膚トラブルが起きやすい犬種でもあります。湿気がこもると炎症が出やすく、特に日本の夏は注意が必要です。定期的なブラッシングと換気の良い環境づくりは、健康を守るうえで欠かせません。さらに、眼の病気にかかりやすい傾向があり、涙や充血が見られた場合は早めに受診することが推奨されます。

食事管理も寿命に直結します。チャウチャウは代謝がやや落ち着いている犬種のため、必要以上にカロリーを取りすぎると肥満になりやすく、関節や心臓に負担がかかります。適度な運動と質の良い食事、適切な体重の維持が長寿の鍵となります。

さらに、遺伝病のリスクを最小限にするには、信頼できるブリーダーから迎えることが重要です。親犬の健康管理がしっかりしているほど、子犬の健康リスクは減ります。迎えた後も、定期的な健康診断を受けることで、悪化する前に病気を察知できる可能性が高まります。

チャウチャウはなつく？性格や飼いやすさから見える本質とは

チャウチャウの性格はどう？

チャウチャウの性格は「落ち着いていて自立心が強い」という点に集約されます。多くの犬は人と積極的にかかわりたがる傾向がありますが、チャウチャウはまず周囲の状況をじっくり観察し、安心できると判断してから行動に移すタイプです。この慎重さは、古くから護衛や家屋の見張り役として働いてきた歴史が影響していると考えられています。

そのため、初対面では控えめで距離を置くように見えることもありますが、これは冷たいのではなく「相手を見極める性質」が強く出ているだけです。実際、長く一緒に過ごした家族に対しては非常に忠実で、控えめながら深い愛情を示します。人にベッタリ甘える犬とは異なる、落ち着いた大人の雰囲気を持っているのが魅力です。

また、チャウチャウは感情表現が派手ではないため、知らない人からは「何を考えているのかわかりにくい」と言われることもあります。しかし、よく観察すると、目線や体の向きなど細かな部分で感情を伝えており、信頼した相手には自然と寄り添おうとする行動が見られます。こうした控えめで繊細な愛情表現は、チャウチャウならではの個性です。

自立心が強い分、自分のペースを乱されることを好まないため、無理に抱っこされたり、急に大きな声で呼ばれることを苦手にする場合があります。逆に、落ち着いた環境や一貫した生活リズムを与えると、本来の穏やかさと安定感のある性格がしっかりと発揮されます。

チャウチャウはなつくの？

チャウチャウは「なつかない犬」と言われることがありますが、これは誤解に近い表現です。正確には「なつくまでに時間がかかる犬」「信頼を積み上げてから心を開く犬」と言ったほうが実態に合っています。チャウチャウはもともと警戒心が強く、初対面の人や新しい環境に対して慎重に反応する性質を持っています。これは護衛犬として働いてきた歴史の名残で、周囲をよく観察することが当たり前になっているためです。

しかし、一度信頼関係ができると、チャウチャウは家族に対して非常に深い愛情を示します。派手に甘えることは少ないものの、静かに隣に座る、そっと寄り添うなど、控えめで優しい姿勢を見せることが特徴です。この信頼関係は時間をかけてゆっくり育まれるため、チャウチャウと暮らす上では「急かさないこと」がとても重要になります。

なつくためのコツとしては、急に触らない・強い口調で叱らない・予測しやすい生活リズムを作るなど、安心できる環境を整えてあげることが効果的です。チャウチャウは音や動きの変化に敏感なため、大声や急なアプローチは逆に距離を生むことがあります。落ち着いた態度で接すると、相手を見極める力の強いチャウチャウは「この人は安心していい」と理解できるようになります。

チャウチャウの飼いやすさはどの程度？

チャウチャウの飼いやすさは、飼い主がどんな性格の犬を求めるかによって違って感じられます。活発で走り回る犬が好きな人にとっては向かず、落ち着いた生活を好む人にはとても相性の良い犬種です。まず、チャウチャウは激しい運動を必要とせず、散歩もゆっくりとしたペースで十分満足します。室内でも静かに過ごせるため、騒がしい行動が少ない犬を求める家庭には向いています。

ただし、チャウチャウには独特の難しさもあります。それは自立心が強いため、しつけの方法次第で反応が変わるという点です。強制的なしつけや一貫性のないルールはチャウチャウを混乱させ、信頼関係を築く妨げになります。反対に、落ち着いて丁寧に伝えるスタイルはチャウチャウの理解力と判断力に合っているため、問題行動が起こりにくくなります。

また、被毛のケアは重要なポイントです。特にラフコートは抜け毛が多く、週数回のブラッシングが必要です。皮膚が蒸れやすい構造のため、定期的に毛を整え、通気性を確保することで健康を守りやすくなります。スムースコートは比較的手入れが楽ですが、それでも季節の変わり目には抜け毛対策が必要です。

生活環境については、過剰な暑さを避けることが必須です。チャウチャウは暑さに弱いため、夏場はエアコンで温度管理し、散歩の時間帯も工夫する必要があります。温度と湿度に気を配ることで、皮膚トラブルや体調不良を防ぎやすくなります。

チャウチャウの習性はどんなもの？

チャウチャウの習性には、古代から続く歴史や役割が深く影響しています。まず大きなポイントは「状況判断を重視する」習性です。多くの犬は刺激に反応してすぐ動くことが多いですが、チャウチャウは一度立ち止まって周囲を見渡し、安全かどうかを確認してから行動します。この慎重な姿勢は護衛犬として働いていた背景が関係していると考えられています。

また、チャウチャウは日々のルーティンを大切にする習性があります。決まった時間に散歩し、同じ場所で休むなど、生活のリズムが安定していることに安心感を覚えるタイプです。急な環境変化が苦手なことがあるのも、一貫した行動パターンを好む性質から来ています。

「落ち着き」と「自立心」も習性として強く出る特徴です。無駄に走り回ったり、突然飛びついたりする行動は少なく、穏やかな日常を静かに過ごすことを好みます。人に依存しすぎず、自分の居心地の良さを自分で探す傾向もあります。そのため、一緒に生活しても「常にべったり」というより、程よく距離を取りながら共存するスタイルに向いています。

さらに、チャウチャウには周囲をよく観察する能力があります。家族の行動パターンや部屋の雰囲気の変化を敏感に察知し、落ち着かない様子を見せることもあります。この観察力は、安心できる環境が整っているかを確認する本能的な行動とも言えます。

チャウチャウの値段はどれくらい？

チャウチャウの値段は一般的に30万〜60万円ほどが相場とされますが、個体によって大きく幅が出る犬種でもあります。価格が変わる理由には、遺伝的な健康状態、毛色の希少性、親犬の血統、育った環境、ブリーダーの質など、多くの要素が関わっています。特に毛色のブルーやフォーンなどは希少で、価格が高くなる傾向があります。

信頼できるブリーダーから迎える場合、子犬の健康チェックやワクチン接種、適切な社会化が行われているため、価格が高めに設定されることがあります。しかし、これらは健康で長生きできるチャウチャウを迎えるための必要なコストでもあります。一方で、相場より極端に低い価格の個体は、健康管理が十分ではない可能性や遺伝的リスクを抱える場合があるため、慎重に判断する必要があります。

また、日本国内ではチャウチャウ専門のブリーダーが多い犬種ではないため、入手までに時間がかかることがあります。海外からの輸入という選択肢もありますが、輸送費や検疫手続きが加わるため、さらに費用がかかる場合があります。迎える前にどこまでの予算を想定し、どのような条件の子犬を求めるのかを明確にしておくことが大切です。

値段だけで判断せず、「なぜその価格なのか」という背景を確認することが最も重要です。健康な親犬、清潔で安定した飼育環境、正確な説明をしてくれるブリーダーなど、見極めるポイントはいくつもあります。結果として、適正な価格の子犬ほど、健康状態が良く、性格も安定しやすい傾向があります。

チャウチャウの由来はどこ？

チャウチャウの由来は中国北方にあり、そのルーツは2000年以上前にも遡るとされています。古代の文献や壁画にチャウチャウに似た犬が描かれていることから、長い歴史の中で人と共に暮らしてきたことがわかります。当時のチャウチャウは、狩猟・荷物運搬・護衛・家畜の見張りなど、多用途で働く「万能犬」として重宝されていました。寒さの厳しい地域で生き抜くための体格や被毛が、そのまま現代の姿につながっています。

チャウチャウという名前の由来にはいくつかの説がありますが、有力なのは、18〜19世紀ごろ中国から英国へ輸送される際、船荷として運ばれる「雑貨（チャウチャウ）」の中に犬が含まれていたため、そのまま名称として使われるようになったという説です。つまり、貿易上の呼び名が犬種名に転じたという経緯です。

しかし、遺伝学的に見ると、チャウチャウは単なる貿易品ではなく「非常に古い系統を維持している犬種」であることが明らかになっています。現代の多くの犬種よりも古いDNAパターンを持っており、いわゆる“基底犬種”のひとつと位置づけられています。こうした分析からも、チャウチャウが長い時間をかけて独自の進化を遂げてきたことがわかります。

文化的にも、チャウチャウは中国の家庭で守り神や番犬として扱われていた背景があり、人々との距離感は「依存」ではなく「共存」というスタイルに近かったと考えられています。現代のチャウチャウが控えめで自立した性格を持っているのは、この歴史的な背景から自然に受け継がれた性質と言えるでしょう。