「グンディ」という名前を聞いたことはありますか？日本ではまだあまり知られていないこの小さな動物は、その姿が“きなこもち”にそっくりだと話題になったことも。
ネズミに似た見た目ながらも実は全く違う科に属していて、その特徴や生態、そして寿命までが驚きに満ちています。
そんなグンディはどこに生息していて、どんな環境で飼育されているのでしょう？動物園で会えるのか、ペットとして飼えるのか──あなたの疑問にすべて答えます！
この記事はこんな方におすすめ
- 小動物や珍しい動物に興味がある方
- ペットとして飼えるユニークな動物を探している方
- 動物園めぐりが趣味の方
- ネズミ科以外の小動物に好奇心がある方
- グンディの“きなこもち”というあだ名に惹かれた方
グンディの寿命はどれくらい？特徴と重なるその生き様とは
グンディの寿命はなぜ長くも短くもないのか
グンディ（Ctenodactylus spp.）の寿命は、野生下でおよそ3〜4年、飼育下では5〜6年程度とされています。これはサンディエゴ動物園などの飼育実績に基づく観察から得られた平均値で、個体差によってはさらに短命、または長寿になる例もあります。
寿命の長短に影響を与える主な要因は、生息地の過酷さや捕食者の存在、繁殖頻度、そして食料の安定供給です。野生では、砂漠や岩場の乾燥した地域で生きており、食物の確保と体温維持が常に課題となります。これにより、エネルギー効率に優れた体構造と、比較的早熟な生殖サイクルが形成されました。
一方で、飼育下では栄養状態が安定し、天敵もいないため、環境さえ整えば自然よりも長く生きることが可能です。ただし、温度管理やストレスケアなど人為的配慮が欠けると、野生よりも短命になる場合もあるため注意が必要です。
ネズミじゃないの？しっぽと大きさで見る違いとは
グンディは一見するとネズミに似ていますが、系統分類上はまったく異なるグンディ科（Ctenodactylidae）に属します。体長は約16〜20cm、体重は170〜200gほどと小柄ながら、丸く短いしっぽが特徴です。ネズミのように長い尾を持たない点が大きな違いのひとつです。
この短いしっぽは、岩場を移動する生活に適応した結果で、長い尾が邪魔になる環境では逆に進化的に不利だったと考えられます。さらに、後足の裏にはブラシ状の毛が生えており、滑りやすい岩面でもしっかりとグリップできる構造になっています。
また、ネズミと比べて頭部が大きく、眼球もやや前方に向いているため、周囲の警戒をしやすい造りとなっており、捕食者をいち早く察知する役割を果たしています。こうした体のつくりは、外見こそ似ていても異なる進化の道をたどってきたことを物語っています。
グンディはどの科？ネズミとの違いに迫る
グンディは、げっ歯類の中でも特異なグンディ科（Ctenodactylidae）に分類される哺乳類です。ネズミが属するネズミ科（Muridae）とは異なり、古第三紀に起源をもつとされる古い系統の動物群であることがわかっています。
グンディ科の動物は、顎の動きや歯の構造、腸内細菌の多様性などが他の齧歯類とは大きく異なります。特に歯は、乾燥した植物をすり潰すのに特化した形状で、複雑な咀嚼面を持つ臼歯が特徴的です。また、顎の動きも咀嚼に適した前後運動が主体で、雑食性のネズミとは大きく異なります。
さらに分類学的には、グンディ科はCtenodactylomorph rodentsと呼ばれる独自のグループに位置づけられ、デグー科やカピバラ科などの新世界齧歯類よりも系統的に隔たっています。つまり、見た目の類似性は「収斂進化」の結果であり、遺伝的には遠縁の存在なのです。
グンディの生息地で見られる“重なる”行動とは
グンディの生息地は北アフリカのアルジェリアやモロッコ、リビアなどの乾燥地帯です。特に岩場や斜面の割れ目など、日差しを避けつつ風通しの良い場所を好んで生活しています。そんな彼らの習性の一つが「重なる」行動です。
これは英語で“stacking behavior”とも呼ばれ、複数の個体がぴったりと身を寄せ合って重なるように休む姿勢を指します。主な目的は体温保持と社会的結束を強めるためとされており、寒暖差の激しい生息地においてエネルギーを無駄にせず体温を維持する合理的な戦略です。
また、重なり合うことで個体間のコミュニケーションが円滑になり、外敵への警戒も共有されやすくなります。観察例では、年長の個体が中央に位置し、若齢の個体が外側に配置されるなど、一定の秩序も見られています。このような行動は、グンディが単なる個体ではなく、群れの中で協調して暮らす社会的動物であることを示しています。
グンディの耳が語る？環境に適応したフォルムとは
グンディの耳は丸くて小さく、毛に覆われているのが特徴です。これは乾燥地帯での生活において、体内の水分蒸発を防ぎ、砂塵の侵入を防ぐための適応です。大きな耳を持つ動物が熱放出に優れる一方、小さな耳は水分の保持に有利なのです。
また、耳の内部には防塵機能を果たす毛が密生しており、強風や砂嵐の中でも聴覚器官が傷つきにくい構造となっています。聴力自体も鋭く、岩場の隙間に潜む捕食者の足音を聞き分ける能力に優れているとされます。
加えて、耳の筋肉の発達により、方向性のある音に即座に反応することができ、聴覚による危険察知が命を守る上で重要な役割を果たしているのです。見た目の可愛らしさとは裏腹に、その機能性は極めて実用的かつ進化的合理性に満ちています。
きなこもちに似てる？愛称の理由とは
「きなこもち」という愛称は、グンディのビジュアルが日本人にとって非常に親しみやすい外観をしていることからつけられたものです。丸みを帯びた体型、柔らかそうな毛並み、そして淡い茶色がまさに和菓子のきなこもちを連想させるため、SNSを中心に広まりました。
特に2020年代以降、海外の動物園で撮影されたグンディの画像や動画がX（旧Twitter）やInstagramで拡散され、そのたびに「まるできなこもち」とコメントされることが多く、俗称として定着しました。この親しみやすさが、知名度の低いグンディという動物への興味を高める一因となっています。
ただし、その見た目の可愛さとは裏腹に、グンディは非常に敏感で繊細な生き物であることを忘れてはなりません。可愛いだけでなく、その背景にある生態や進化の仕組みを理解することが、グンディを正しく知る第一歩となるのです。
グンディの寿命と飼育のリアル──ペットとしての可能性は？
ペットとしてのグンディ、実際に飼えるの？
グンディをペットとして飼育することは理論上は可能ですが、実際には多くの障壁があります。まず、日本国内での流通はほぼ皆無で、ペットショップや一般的なブリーダーで取り扱われることはまずありません。動物園でも飼育例は限られており、国内で実際に飼育している施設はごく少数です。
さらに、グンディの輸入には国際的な動物取引に関する法律（ワシントン条約：CITES）や、国内の動物愛護管理法に関する審査・手続きが必要です。特にグンディは生息域が限られているため、野生個体の捕獲や流通には厳格な規制が敷かれています。実際に輸入・飼育するには、動物取扱業者としての登録や検疫設備の確保、申請書類の整備が求められ、個人で行うのは現実的ではありません。
こうした背景を踏まえると、グンディは「理論上は飼えるが、事実上は難しい」動物であり、好奇心だけで安易に手を出すべき存在ではありません。飼育を本気で検討する場合は、まず専門家の助言を受け、環境・法規・倫理の面から十分に理解を深めることが大切です。
飼育の難しさと必要な環境とは？
グンディは北アフリカの乾燥した岩場や砂礫地帯に適応した動物です。そのため、飼育下でも生息地の環境に近づける必要があります。理想的な飼育温度は22〜28℃、湿度は30〜40％に保つことが望ましく、特に梅雨や夏の湿気の多い日本では除湿対策が不可欠です。
ケージ内には岩や石を模したシェルター、隠れ家、砂場などを配置し、紫外線ライトを使って自然光に近い照明環境を整えるとよいとされています。また、彼らは昼行性で静かな環境を好むため、テレビや人通りの多い場所を避け、落ち着いた空間に設置することが推奨されます。
彼らの敏感な気質にも注意が必要です。音や振動、突然の動きに驚きやすく、ストレスを溜めると食欲不振や免疫低下を招き、体調を崩す原因になります。グンディの健康を守るためには、自然環境の再現に加えて、ストレス管理も同等に重要なのです。
日本での飼育事例はあるの？気候と法規制の壁
日本でグンディの個体が一般家庭で飼育されたという事例は、2025年現在、公式には確認されていません。これは流通ルートの希少性に加え、動物検疫所を通す際の複雑な手続きや、輸入にかかる高額な費用も理由の一つです。輸入の際には農林水産省の動物検疫に加え、環境省の動物種リストの確認も必要です。
グンディはCITES（ワシントン条約）の付属書には現時点で掲載されていないものの、生息数が限られるため将来的にリストに加わる可能性もあります。気候の観点から見ても、日本の高湿度な環境はグンディにとって大きなストレス要因です。
また、自治体によっては、珍しい動物を飼育する際に届け出が必要であったり、特定動物に準じた管理を求められる場合もあります。こうした気候的・法的ハードルを総合すると、日本での飼育は極めて難易度が高く、一般化する可能性は低いといえます。
餌や性格は？飼育する上での特徴を紹介
グンディは完全草食性で、野生下では乾燥した草や根、樹皮などを食べています。飼育下ではチモシーやオーツヘイなどの乾燥牧草が主食として推奨され、補助的に乾燥野菜や低糖の草食動物専用ペレットを与えるのが一般的です。水分摂取も控えめで、食物からの水分摂取に特化しています。
食事は少量を頻繁に摂るスタイルで、食欲や排泄状況から健康状態を判断するのが基本です。胃腸がデリケートなため、人間用の野菜や果物を与えるのは避けた方が無難です。さらに、カルシウム・ビタミンDの摂取バランスも重要で、不足すると骨粗しょう症のような症状が出ることもあります。
性格は臆病で慎重な傾向があり、飼い主に慣れるまでには時間がかかります。鳴き声は小さく、基本的に静かですが、ストレスや警戒時には鳴き声を発することもあります。社会性はあるものの縄張り意識も強く、複数飼育には細心の注意が必要です。
グンディの寿命に影響する飼育環境の違い
野生下でのグンディの寿命はおおよそ3〜4年とされていますが、飼育下では環境が整っていれば5〜6年、稀に7年以上生きる個体も報告されています。寿命の延伸に大きく寄与するのは、捕食者の不在、安定した食事、水分、衛生管理、そしてストレスの少ない環境です。
逆に、不適切な温湿度管理や栄養バランスの乱れ、飼い主による過度な接触などは寿命を縮める原因となります。グンディは自然下での生活に高度に適応しているため、その環境を人工的に再現するには相当な労力と知識が必要です。
また、成長期や繁殖期には特に栄養要求量が増えるため、ライフステージに合わせた食餌設計が求められます。これらの点をきちんと守ってこそ、飼育下での健康寿命を伸ばすことが可能になるのです。
専門家の見解──グンディをペットにすることの是非とは
多くの専門家や動物園職員は、グンディのような特殊環境に生きる野生動物を家庭で飼うことに否定的です。主な理由として、適切な飼育情報の不足、生態への深い理解が必要な点、そして輸送・飼育によるストレスが健康に与える悪影響が挙げられます。
また、グンディはIUCNレッドリストでは現在「低リスク（LC）」と分類されていますが、生息域の限定性から環境変化に脆弱であることが懸念されています。野生個体の需要が高まれば密猟や違法取引を誘発する可能性も否定できません。
グンディを守るためには、「飼う」よりも「知る」ことが第一歩です。研究・教育・観察を通して理解を深め、希少な動物への正しい接し方を社会全体で育むことが求められています。個人ができることとしては、安易な飼育ではなく、動物園や科学的資料を通じた学びを大切にする姿勢が推奨されます。
